「ルールが無かった新たなサービスを始めたいとしよう。どうするか」と問題提起をしているが、具体例として取り上げている「ライドシェア」に関して「ルールが無かった」とする前提が間違っている。
九州北部豪雨後の大肥川(大分県日田市) ※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
ルールが無かった新たなサービスを始めたいとしよう。どうするか。
まずは試して、法整備はその後。米ウーバーテクノロジーズはこうして約80カ国・600都市以上にサービスを広げてきた。シンガポールは一般人がライドシェアの運転手になれる免許を7月に導入。マレーシアでも同月にライドシェアを合法化する法律が成立した。
日本は自家用車での有償運送を原則認めない。未知のビジネスと遭遇したら、まず法整備を議論する。根底には法律に対する考えの違いがある。日本は細かい規則を定める成文法の国。英米は細則は定めず、何かあれば裁判で判断する判例法を使う。「一般に英米型の方が、明確に合法と書かれていない事業にも企業は踏み出しやすい」と中町昭人弁護士は話す。
◎ライドシェアには「ルールが無かった」?
ライドシェアは「ルールが無かった新たなサービス」と言えるだろうか。サービスの基本は「自家用車での有償運送」だ。そして記事では「日本は自家用車での有償運送を原則認めない」と書いている。「ルールが無かった新たなサービス」というより「既存のルールに抵触する新たなサービス」と考える方が自然だ。
なので「『お上が決めて』脱却を」と訴える事例にはなり得ない。事業者が「まずは試して」と考えても、法律で禁じられていれば、法改正を「お上が決めて」くれるのを待つしかない。取材班では「法律を無視して、まずは試してみろ」とでも言いたいのだろうか。
※今回取り上げた記事「イノベーションとルール(2)未知との遭遇、その時 『お上が決めて』脱却を」
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170823&ng=DGKKZO20274000T20C17A8MM8000
※記事の評価はD(問題あり)。
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