2017年8月26日土曜日

「長期投資家が動かない理由」で日経 宮川克也記者に異議

26日の日本経済新聞朝刊マーケット総合2面に載った「ポジション~ファンド、REITを翻弄 投信決算の隙狙い短期売買 長期投資家は様子見姿勢」という記事に納得できない説明があった。見出しで言えば「長期投資家は様子見姿勢」 の部分だ。筆者の宮川克也記者によると、REIT相場は明らかに割安なのに「長期投資家たちは動こうとしない」らしい。そんなことがあり得るだろうか。
九州北部豪雨後の「菱野の三連水車」(福岡県朝倉市)
           ※写真と本文は無関係です

記事では以下のように説明している。

【日経の記事】

東証REIT指数の予想分配金利回り(加重平均)は4.1%と約4年ぶりの高い水準にある。「明らかに割安」(フィデリティ投信の村井晶彦ポートフォリオマネージャー)だが、需給主導の相場を嫌って長期投資家たちは動こうとしない


◎「需給主導の相場」を嫌う理由ある?

REITで運用する毎月分配型投信の人気低下が響き、『投信発の売り圧力』が強まる。そんな需給の弱さが表れやすい毎月分配型投信の決算日前後を狙って、ファンド勢が短期的な売買を仕掛けている」のが最近のREIT市場だと宮川記者は解説する。

REIT相場は「明らかに割安」な水準まで下げているとしよう。この時に「需給主導の相場を嫌って」長期投資家が買いに動かないのは、明らかに非合理的だ。

長期的な視点で投資するのだから、短期的に「不動産投資信託(REIT)相場をヘッジファンドが振り回している」としても気にする必要はない。「毎月分配型投信の人気低下」で投信からREITの売りが出やすくなるのは一時的現象なので、「明らかに割安」なところで買いを入れたら後はのんびり待てばいい。いずれは相場が適正水準へと回帰して利益を得られるはずだ。

長期投資家が基本的には合理的に行動すると仮定すれば、「動こうとしない」理由は「明らかに割安」とは判断していないからだろう。

宮川記者には自分が投資家になったつもりで考えてほしい。REITに長期投資しようと検討していて、適正価格1口100円と見ているREITが80円以下の水準で乱高下している。値動きが激しいのは一時的な要因によるものだ。乱高下が収まるのを待っていたら価格は100円に戻ってしまうかもしれない。この時、買いに「動こうとしない」選択を正当化できるだろうか。


※今回取り上げた記事「ポジション~ファン日本経済新聞朝刊マーケット総合2面に載った「ファンド、REITを翻弄 投信決算の隙狙い短期売買 長期投資家は様子見姿勢
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170826&ng=DGKKZO20413190V20C17A8EN2000

※記事の評価はC(平均的)。宮川克也記者への評価はCで確定とする。

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