2017年7月20日木曜日

「スタートアップス業界」と平気で書く日経 藤田満美子記者

スタートアップス業界」「テック業界」と聞いて、どんな業界かすぐにイメージが湧くだろうか。個人的には初耳だった。どんな業界か推測できなくはないが、自信は持てない。しかし、日本経済新聞の藤田満美子記者(シリコンバレー支局)は記事中で躊躇なくこうした用語を使っている。
豪雨被害を受けた福岡県朝倉市 ※写真と本文は無関係です

まずは19日の夕刊総合面に載った「シリコンバレー、セクハラで波紋 ベンチャー投資家辞任相次ぐ 男性優位の風潮なお」という記事の全文を見ていこう。

【日経の記事】

米シリコンバレーで女性起業家が投資家からのセクハラ被害を訴え出ている。有力ベンチャーキャピタル(VC)の幹部らが相次ぎ辞任する事態に発展している。スタートアップス業界では男性優位の風潮が強く、シリコンバレー全体を揺るがす問題になっている。

米紙ニューヨーク・タイムズは6月末、シリコンバレーで横行するセクハラ問題の記事を掲載した。VCなど複数の投資家のセクハラ行為が明らかになった。

その一人が有力VCである「500スタートアップス」の共同創業者デーブ・マクルーア氏だった。同VCは同氏を降格処分にすると発表。「テック業界の女性と不適切な交流をした」と説明した。同氏も複数の女性に言い寄ったことを認めて謝罪したが、その後も別の女性起業家が被害を告発するなどしたため辞任に追い込まれた。

VC業界は男性偏重の文化が強いとされ、女性の起業家は不快な扱いを受けても我慢するか、資金調達をあきらめるしかなく、セクハラ被害を言い出しにくいという。
豪雨被害を受けたJR日田彦山線(大分県日田市)
       ※写真と本文は無関係です

配車アプリの米ウーバーテクノロジーズでもセクハラ問題がトラビス・カラニック最高経営責任者(CEO)辞任のきっかけの一つになった。「ウーバーの元女性社員による告発をきっかけに多くの女性が勇気を持って話せるようになったが、まだ氷山の一角にすぎない」。女性起業家の支援団体であるWFFコネクトを運営するカリーン・シュナイダー氏はこう話している。



◎読者にきちんと伝わるか考えよう!

ネットでの使用例を調べてみると「テック業界」「スタートアップ業界」はゼロではない。だが「スタートアップス業界」は確認できなかった。こうした用語が日経の読者に広く知られているとは考えにくい。なのになぜ安易に使ってしまうのか。担当デスクの責任も重い。

文脈から判断すると「スタートアップス業界」とは「VC業界」を指すのだろう。記事には「VC業界は男性偏重の文化が強い」との記述もある。同じ意味ならば、「スタートアップス業界」などと書かずに「VC業界」で統一すれば済む。違う業界ならば、どう違うか読者に説明すべきだ。「テック業界」についても、もっと読者に伝わる表現を考えてほしい。

ついでに他にもいくつか注文を付けておこう。

◎「デーブ・マクルーア氏」の役職は?

『500スタートアップス』の共同創業者デーブ・マクルーア氏」について「降格処分」になったと書いているが、どの役職からどの役職に「降格」になったのか説明がない。これは苦しい。


◎「ベンチャー投資家辞任相次ぐ」?

見出しでは「ベンチャー投資家辞任相次ぐ」となっているが、辞任した「ベンチャー投資家」は「デーブ・マクルーア氏」しか出てこない。これも苦しい。
豪雨被害を受けた福岡県朝倉市 ※写真と本文は無関係です

今回の記事は「米紙ニューヨーク・タイムズ」が6月末に掲載した記事の内容をなぞった後で「女性起業家の支援団体であるWFFコネクトを運営するカリーン・シュナイダー氏」のコメントを加えただけの安易な作りだ。NYタイムズの記事掲載から半月以上が経っているのだから、本来ならばもう少し独自取材の内容を盛り込みたいところだ。

それができていないだけでなく、用語の使い方には工夫がなく、説明不足も目立つ。「この完成度で読者からカネを取るのは申し訳ない」と藤田記者には反省してほしい。


※今回取り上げた記事「シリコンバレー、セクハラで波紋 ベンチャー投資家辞任相次ぐ 男性優位の風潮なお
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170719&ng=DGKKASGM19H09_Z10C17A7EAF000

※記事の評価はD(問題あり)。 藤田満美子記者への評価も暫定でDとする。

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