筑後川の河川敷(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です |
まずは小田嶋氏のコラムと17日の日経の社説「『民主主義のコメ』として」を対比させてみよう。
【日経の社説】
この問題をかんがえるとき参考になるリポートがある。日本新聞協会の諮問を受けた法学者らによる「新聞の公共性に関する研究会」(座長・戸松秀典学習院大名誉教授)が13年9月にまとめた「新聞への消費税軽減税率適用に関する意見書」がそれだ。
「新聞は誇るべき日本の文化である」「新聞は日本全土のいたるところでサービスを受けられるようになっており、このユニバーサル・サービスこそが日本の民主主義の支柱であり、基盤である」と新聞への軽減税率の適用を是認した内容である。
「民主主義のコメ」としての新聞の位置づけだ。これは決して特別なことではない。欧米先進国で新聞に減免制度が導入されているのをみれば分かる通りである。
【日経ビジネスの記事(小田嶋氏のコラム)】
率直に申し上げて、「経営が苦しいので、増税は勘弁してください」というのなら、まだ分からないでもない。
ところが、彼らは、「知識への課税は、民主主義の維持発展を損なう」「欧米では知識には課税しないのが常識」「国民に知識と教養を普及しているわれわれへの課税は問題だ」と、自らへの減税を要求している。それが、人にものをお願いする人間の態度だろうか。
12月16日付けの記事で、新聞への軽減税率適用の報道を受けて、白石興二郎日本新聞協会長は、以下のように述べている。
「--略-- 新聞は報道・言論によって民主主義を支えるとともに、国民に知識、教養を広く伝える役割を果たしている。このたびの与党合意は、公共財としての新聞の役割を認めたものであり、評価したい。 --略--(こちら)」
このコメントを虚心に読んで、反発を感じない新聞読者がどれほどいるだろう。
いや、新聞が、読者に知識や情報を提供していることは事実だと思う。ジャーナリズムが、民主主義を支える重要な柱のひとつであることもまた、その通りなのだろう。
ただ、免税を求める側の人間が、「自分たちは、知識の源泉だから」「われわれこそが、民主主義の守護者だから」ということを理由にそれを求めるのは、ものの言い方としてどうかしていると思う。控えめに言っても、驕り高ぶっているんじゃないかと感じる。
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改めて読んでみても「日経の社説の内容を真っ向から否定するようなコラムを日経ビジネスはよく出せたな」と思う。「つい、うっかり」の可能性はあるが、基本的には英断と評価すべきだろう。
せっかくの機会なので「新聞への軽減税率適用」の問題を(2)では論じてみたい。
※(2)へ続く。
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