専念寺(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
身近なプラス効果は石油製品の値下がりだ。レギュラーガソリンの店頭価格は11月末に1リットル130円(全国平均)を切り、さらに下がっている。
石油は工業製品や食品・医薬品に化ける基礎物質。大半を輸入に頼る日本にとって、正の効果は思いのほか大きい。いわば財源いらずの減税に等しく、恩恵は消費者・産業界のみならず政府や地方自治体も享受する。
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「正の効果は思いのほか大きい」と書いてあるので、予想以上の大きさを具体的に見せてくれるのかと思いました。しかし、「恩恵は消費者・産業界のみならず政府や地方自治体も享受する」と当たり前の話をしているだけです。
「レギュラーガソリンの店頭価格は11月末に1リットル130円」は具体的な数字ではありますが、過去との比較がありません。どの程度の下落なのか見せてあげなければ「身近なプラス効果」があるとは伝わりにくいでしょう。
◎インフレを考慮しないと…
【日経の記事】
1973年、石油輸出国機構(OPEC)が示し合わせて原油価格を4倍につり上げ、日本経済を狂乱物価の大混乱に陥れた。そのとき油価は15ドルほど。40年あまりを経て経済の懐は深くなった。
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「そのとき油価は15ドルほど。40年あまりを経て経済の懐は深くなった」というくだりでは、「オイルショックの時に原油が高いと大騒ぎしたけれど、今よりはるかに安かったんだ。日本経済の懐も深くなったもんだなぁ」と訴えたいのでしょう。ただ、40年前と今では物価水準が大きく異なります。物価変動を考慮せず名目価格で40年前と比べて「経済の懐は深くなった」などと感想を述べても、あまり意味はありません。
◎「原油安は長引くとみてよかろう」?
【日経の記事】
そのOPECが価格、量の両面でカルテル機能を放棄したのは、今月ウィーンで開いた総会の結果からも明白だ。もし生産上限枠に合意していたとしても、非OPEC産油国の市場シェアが過半を占める現状では、合意に重みはない。原油安は長引くとみてよかろう。
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OPECがカルテル機能を失いつつあるし、価格決定権を持とうにも市場シェアが半分未満なので「原油安は長引くとみてよかろう」と大林様は大胆に予想しています。例えば「原油相場が100ドルを超えていた2014年前半まではOPECが強力な価格支配力を持っていて、市場シェアも9割を超えていた」といった状況があったのならば、大林様の分析に頷けます。しかし、OPECの価格支配力が強くないのも、シェアが半分に満たないのも、かなり前からの話ではありませんか。にも拘らず原油相場が100ドルを超えていた時期があったのです。だとすると「原油安は長引くとみてよかろう」とあっさり結論付けてしまうのは、浅すぎる分析だとは思いませんか。
記事には他にも問題点があります。残りは(3)で述べます。
※(3)へ続く。
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