2022年4月1日金曜日

日銀と「市場との闘い」を正しく理解してる? 日経 学頭貴子記者「ポジション」

 1日の日本経済新聞朝刊マーケット総合面に載った「ポジション 市場との闘い 日銀に試練の4月~新発10年債入札・消費者物価…金利上昇要因が続々」という記事を書いた学頭貴子記者は「市場との闘い」を正しく理解していない気がする。

島原半島

そう感じたくだりを見ていこう。

【日経の記事】

日銀幹部は「長期金利が0.25%を超えても、日銀が全て買うのでコントロールできる」と胸を張るが、市場の見方は異なる。オーストラリアの中央銀行は21年11月、3年債の利回り目標を撤廃。インフレ率の上昇と景気回復を背景に3年債利回りは大きく上昇しており、中銀が抑えられなかったとの見方が広がった。

現実の金利上昇や円安圧力の強まりから「YCCの対象を10年債から短期化するなどの政策調整は十分想定できる」(バークレイズ証券の山川哲史調査部長)との思惑は市場で根強い。日銀が市場に事実上の「白旗」をあげる日はそう遠くないかもしれない。


◎日銀は常に勝てるが…

長期金利が0.25%を超えても、日銀が全て買うのでコントロールできる」という「日銀幹部」は正しい。「市場の見方は異なる」としたら「市場の見方」が間違っている。少し考えれば分かるはずだ。日銀は無から限界なく日本円を創出できる。金(ゴールド)などでの裏付けも必要ない。市場に出回る全ての国債を購入する能力を日銀は有している。「長期金利」を「コントロール」できなくなると考える道理はない。

そこと「YCCの対象を10年債から短期化するなどの政策調整」を学頭記者は混同して考えているのではないか。「市場」環境の変化に応じて日銀が「政策調整」に動く可能性は十分にある。円安や物価高の進行で政府からの「政策調整」が高まる場面も想定できる。「政策調整」が実現した場合に「日銀が市場に事実上の『白旗』をあげ」たと見ても良い。

しかし日銀による「長期金利」の「コントロール」が能力的な限界を迎えた訳ではない。「コントロール」は常に容易にできる。ただ「市場」環境の変化などが「長期金利」の「コントロール」を好ましくないものにしただけだ。そこを分けて考えてほしい。今回の記事では、それができていない。


※今回取り上げた記事「ポジション 市場との闘い 日銀に試練の4月~新発10年債入札・消費者物価…金利上昇要因が続々

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220401&ng=DGKKZO59595390R30C22A3EN8000


※記事の評価はD(問題あり)。学頭貴子記者への評価はDで確定とする。

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