個人的には「人類はまだ月に行っていない」と思っている。その立場から25日の日本経済新聞朝刊ニュースな科学面に松添亮甫記者が書いた「人を再び月へ 火星も視野~米新型ロケット、初夏以降に試験飛行」という記事を興味深く読んだ。一部を見ていこう。
那珂川 |
【日経の記事】
約50年前の「アポロ計画」以来の人類の月面着陸を目指した米国主導の「アルテミス計画」が進む。持続的な月面開発だけでなく、初の火星有人探査も視野に入れ、多くの企業が参加する一大プロジェクトだ。コストや技術などの課題はあるが、月面再着陸を「最短2025年」とする野心的な目標の達成に注目が集まる。
◎どこが「野心的」?
「1960年代に始まったアポロ計画は旧ソ連との冷戦の中、国威発揚の意義が大きく、初の月面着陸そのものが目標となっていた。69年の初着陸から72年までに12人の宇宙飛行士を月に送り込んだが、それ以降、探査は途絶えた」とも松添記者は解説している。
「月面再着陸」は「1960年代」に実現したことへの再挑戦だ。今は2020年代。この間の科学技術の発達を考えれば容易な課題だろう。なのに実現は「最短2025年」。どこが「野心的な目標」なのか。
「アルテミス計画」は「米国が2019年に提唱した有人月面探査計画」で、当初は2024年に人類を月に送り込むはずだった。それが「最短2025年」になり、今では2026年以降になる公算が大きいと言われている。
何かおかしくないか。「69年の初着陸から72年までに12人の宇宙飛行士を月に送り込んだ」のは米国だ。その担い手となった「米航空宇宙局(NASA)」が消えてなくなった訳でもない。なのに「1960年代」にできたことを再現するのに四苦八苦して延期に次ぐ延期となっている。
こうなると、やはり疑問が浮かぶ。本当に「69年の初着陸から72年までに12人の宇宙飛行士を月に送り込んだ」のか。「人類はまだ月に行っていない」と考えれば辻褄が合う。「米航空宇宙局(NASA)」にとっても未知の領域に挑む難事業だから苦戦を強いられているのではないか。
松添記者はそこに疑問を持っているようには見えない。「69年の初着陸から72年までに12人の宇宙飛行士を月に送り込んだ」という話を事実だと見るのならば、それでもいい。なぜ「1960年代」にできたことが2020年代前半の「米航空宇宙局(NASA)」はできなくなっているのか。
そこを今後の記事で伝えてほしい。
「延期に次ぐ延期となり2020年代中の月着陸はない」
これが自分の見立てだ。松添記者はどう見る?
※今回取り上げた記事「人を再び月へ 火星も視野~米新型ロケット、初夏以降に試験飛行」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220425&ng=DGKKZO60230110S2A420C2TJN000
※記事の評価はC(平均的)。松添亮甫記者への評価も暫定でCとする。
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