2021年3月11日木曜日

日経に好ましい変化? 「親子上場」に関する石橋茉莉記者の説明を評価

日本経済新聞は親子上場問題を好んで論じる。それ自体は悪くないが、気になる点が2つある。まず、親子上場を問題視するのに禁止は求めないところだ。親子上場を「日本特有」と捉えるのも理解に苦しむ。

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その意味で11日の朝刊金融経済面に載った「企業統治指針 残る課題(下)親子上場の是非問わず~株主保護と説明責任必要」という記事には注目したい。

日本は子会社も上場する企業が突出して多い。上場企業のうち株式を30%以上保有する上場企業を持つ割合は米国の0.89%や英国の0.20%に対し日本は10.73%だ」と石橋茉莉記者は記している。

日本は上場子会社が多い」というタイトルのグラフを見ると「支配株主50%以上」では日本が約6%。これに対しフランスとドイツは約2%で決定的な違いはない。「日本特有」ではないことを石橋記者はデータできちんと示している。

週刊エコノミスト2019年11月5日号の記事で一橋大学特任教授の藤田勉氏は「日本ほど活発でないが、親子上場は大陸欧州や南米を中心に海外でも広く存在する」と解説していた。これと符合する。

しかし日経はこれまで「日本に特有」と訴え続けてきた。例えば2019年6月7日付の記事では「貿易摩擦への懸念や米利下げ期待など株式相場を動かす材料が猫の目のように入れ替わる日々。その中でも変わらぬ日本特有の重要テーマがある。親子上場だ」と竹内弘文記者が書いている。

2020年10月6日付の記事にも「世界的にみても日本に特有のグループ形態」との記述がある。米英では親子上場が非常に少ないとしても、だから「日本に特有」とは言えない。広く海外を見る必要がある。

今回の石橋記者の説明には問題を感じない。好ましい変化が見える。そこは評価したい。


※今回取り上げた記事「企業統治指針 残る課題(下)親子上場の是非問わず~株主保護と説明責任必要

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210311&ng=DGKKZO69860640Q1A310C2EE9000


※記事の評価はC(平均的)。石橋茉莉記者への評価は暫定でCとする。

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