2021年2月6日土曜日

金投資の「買うタイミング」と「価格変動リスク」について追加で説明

エモリファンドマネジメント代表取締役の江守哲氏が週刊エコノミスト2月9日号に書いた「金~米インフレ率上昇を想定 金投資の『ラストチャンス』」という記事を取り上げた投稿で問い合わせがあった。今回はその件で追加の解説をしたい。「『金投資』に関する江守哲氏の週刊エコノミストでの解説に問題あり」という投稿では以下のように説明した。

夕暮れ時の筑後川

【投稿の内容】

まず「買うタイミングを分散し、購入資金を小分けにすれば、価格変動のリスクは分散できる」という考えは間違っている。「」に投資対象を絞る限り「価格変動のリスクは分散でき」ない。

仮に「」が現在1グラム1000円だとしよう。100円、500円、800円の時にそれぞれ1グラムずつ買ったAさんは3グラムの「」を持っている。時価で3000円だ。

一方、Bさんは「金投資」を始めたばかりで買値は1グラム1000円。やはり3グラム持っていて時価はAさんと同じく3000円だ。

ここからの「価格変動のリスク」を考えよう。1年後に「」が半値になったとする。AさんもBさんも「」の時価は1500円になってしまう。「購入資金を小分け」にしたAさんは「価格変動のリスク」をBさんよりも「分散」できただろうか。

同じ量の「」を持っていれば、同じように将来の「価格変動のリスク」にさらされる。過去の買値は関係ない。そう認識しておくべきだ。


【ウエノさんの問い合わせ】

Aさんの金の購入価格の合計は1400円なのだから、結果的に100円の利益が出ているのでは?(一方Bさんは1500円の損が出でいる。)


【追加の解説】

ウエノさんの損益の計算は合っている。だが、そのことは「同じ量の『金』を持っていれば、同じように将来の『価格変動のリスク』にさらされる。過去の買値は関係ない」という説明と矛盾しない。

AさんとBさんが「同じように将来の『価格変動のリスク』にさらされる」のは「同じ量」の「」を持ってからだ。事例で言えば3グラムで2人の保有量が揃ってからになる。

損益に差が出たのはAさんが先に投資を始めているためだ。その時にBさんは金投資をやっていないので、ここで生じた差に関して比較しても意味がない。問題は条件が揃ってからだ。

同じ量の「」を持っていても「購入資金を小分け」にした方が将来の「価格変動のリスク」を減らせるのならば確かにありがたい。しかし、そうはならない。将来の値動きは含み益を抱えている人にとっても含み損を抱えている人にとっても同じように影響する。損益に差が出ているのは「価格変動のリスク」に差があるからではなく、過去の投資で差が生じているからだ。

例えば、ほぼ同じ条件の中古マンションであれば、相続によって取得コストゼロ(税金などは考慮しない)で手に入れても、時価で手に入れてもその後の「価格変動のリスク」は同じだ。

将来の売却によって利益を得やすいのは当然に取得コストゼロの方だが、そのことは「価格変動のリスク」とは関係がない。入手時の条件が違うだけだ。入手後の「価格変動のリスク」は同じように負う。

投資に関する記事では「積み立て投資(ドルコスト平均法)でリスクを減らせる」と解説しているものもある。そうした記事を信じてはダメだ。

「同量の資産を同じ期間に持てばリスクに差はない。ある時点での含み損益は、これから負う価格変動リスクに影響しない」

そう覚えておいてほしい。よく考えると当たり前の話ではあるが…。


※この問題に関しては以下の投稿も参照してほしい。

『金投資』に関する江守哲氏の週刊エコノミストでの解説に問題あり」https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/02/blog-post_4.html

1 件のコメント:

  1. 『ここからの「価格変動のリスク」』についてのご指摘でしたね。よく分かりました、ありがとうございました。

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