2020年8月19日水曜日

古い話をニュースに見せる日経「国家公務員の中途採用強化」の騙し

19日の日本経済新聞朝刊経済面に載った「国家公務員の中途採用強化~政府、人材大手と提携」という記事は問題がある。そして、その問題に筆者自身は気付いているはずだ。記事の全文を見た上で具体的に指摘したい。
増水した大分県日田市の三隈川(筑後川)
        ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

政府は人材サービス大手のエン・ジャパンと提携し、国家公務員の中途採用に力を入れる。同社の4つの求人サイトで応募を呼びかけるほか、バナー広告なども展開し、潜在的な転職希望者にも訴える。政府は2012年度から中途採用枠を設けたが、認知度の低さなどから申込者が伸び悩んでいた。てこ入れを図り、優秀な人材の確保につなげる。

政府は16年度以降、毎年200人以上を中途で採用している。人事院の年次報告によると、申込者は3千人に届かない水準で推移している。内閣人事局は「国家公務員に中途採用があることの認知度の低さが申込件数の伸び悩みにつながっている」とみる。足元では新型コロナウイルスの影響で民間の転職イベントなどへの参加も難しい。ネットを使った採用活動の必要性が高まっている。

20年度は事務系から技術系まで8種の試験で、約280人の中途採用を計画している。うち25人は内閣府や経済産業省など12府省が合同で試験を実施し「キャリア」と呼ばれる事務系の総合職として採用する。エン・ジャパンは自社のサイトに特設ページを作り、公務員のインタビュー記事などの独自コンテンツも用意する


◎時期を明示しないのは…

政府は人材サービス大手のエン・ジャパンと提携し、国家公務員の中途採用に力を入れる」と冒頭で打ち出してあると、この話はこれまで明らかになっていないものだと理解したくなる。実際はかなり旧聞に属する。

エン・ジャパン×内閣官房~内閣人事局 国家公務員中途採用支援プロジェクト開始」というニュースリリースをエン・ジャパンが出したのは7月27日で、「プロジェクト開始」日も同じだ。普通ならば7月末に記事にすべき内容と言える。

それをなぜ今頃になった記事にしたのかは分からない。ただ「かなり前に発表になった話」をそれらしく記事に仕上げるために、筆者は色々と工夫したのだろう。

「いつから」に触れていないのも、そのためだと思われる。日経のニュース記事では頻繁に「いつから」が抜ける。これには2つのパターンがある。

1つは単なる技術不足。もう1つは、古い話を新しい話に見せるための“工夫”だ。今回は後者だろう。

この記事を書いた記者は上手いと言えば上手い。しかし要らない上手さだ。この手のテクニックを覚えて、求められた時に記事を作れるようになれば、社内では重宝されるかもしれない。しかし、書き手としては明らかにダメな方向に進化している。

そうはなってほしくない。


※今回取り上げた記事「国家公務員の中途採用強化~政府、人材大手と提携
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200819&ng=DGKKZO62779830Y0A810C2EE8000


※記事の評価はD(問題あり)

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