大雨で増水した筑後川(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です |
【日経の社説】
働く女性は増えた。だがその力を十分に生かせていない。この中途半端な状態を抜け出すには、働き方と暮らし方の改革が必要だ。
女性の現状を示す指標として長年、注目されてきたのが「M字カーブ」だ。子育て期に女性がいったん仕事を離れ、就業率がガクンと下がる現象を指す。今はMの落ち込みがだいぶ緩和され、グラフは台形に近づきつつある。
ただ、課題はなお多い。すぐに再就職する人も多いが、その大半は非正規だ。このため女性の正規雇用率をみると、20代後半をピークに下がり続ける。グラフにすると、「L」を伏せた「へ」のような形になる。内閣府の有識者懇談会「選択する未来2.0」は今月、中間報告でこの問題を提起し、「L字カーブ」として紹介した。
政府は2013年から「女性活躍」を掲げてきた。「M」は消えても「L」が続く状況では、いまだ成果は十分とはいえない。管理職に占める女性の割合は、日本では15%ほどだ。おおむね3、4割の欧米に比べて低い。
◎「非正規」だと「活躍」できない?
「政府は2013年から『女性活躍』を掲げてきた。『M』は消えても『L』が続く状況では、いまだ成果は十分とはいえない」という記述から判断すると「非正規」雇用の比率が高いことを根拠に「(女性の)力を十分に生かせていない」と筆者は見ているのだろう。
これは「非正規」で働く女性に失礼な話だ。「正規雇用」で働かなければ「女性活躍」だと見なさない理由が分からない。きちんと仕事をしていれば「非正規」でも「活躍」と言えるのではないか。
「管理職に占める女性の割合は、日本では15%ほどだ。おおむね3、4割の欧米に比べて低い」と記述にも同様の問題を感じる。職場では「管理職」が「活躍」していて、それ以外の従業員は「活躍」していないのか。基本的には「管理職」かどうかに関係なく、「活躍」したりしなかったりしているはずだ。
「正規雇用」で「管理職」になる人材だけを「活躍」していると筆者は見ているのかもしれない。だとしたら、かなりの偏見だ。個人的には「非正規」の女性も含めて、日本の女性は「その力を十分に生かせて」いると感じる。
ついでに言うと「内閣府の有識者懇談会『選択する未来2.0』」が紹介したという「L字カーブ」は無理がある。「『L』を伏せた『へ』のような形」ならば、もはや「L字」ではない。素直に「への字カーブ」でいい。
※今回取り上げた社説「女性活躍へ働き方と暮らし方の改革を」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200711&ng=DGKKZO61398300Q0A710C2EA1000
※社説の評価はC(平均的)
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