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| 新地中華街（長崎市）※写真と本文は無関係です |
この記事で引っかかる点をいくつか挙げておきたい。まず記事の最初の方を見てほしい。
【日経の記事】
コンビニエンスストアの24時間営業に転機が訪れている。加盟店オーナーらが作る団体が27日、終夜営業を見直すよう、最大手のセブン―イレブン・ジャパンに要求した。コンビニ各社は利便性と収益の基盤となる24時間を維持する考えだが、人手不足や働き方改革の流れから逆風は強まる。人件費などを加盟店が背負うフランチャイズチェーン（FC）方式で拡大してきたコンビニの急所にもなりかねない。
コンビニの加盟店オーナーらが結成した「コンビニ加盟店ユニオン」は27日、セブン―イレブン・ジャパンに対し、どのような場合に24時間営業の短縮が認められるかなどを取り決めるための団体交渉に応じるよう要求した。同日、都内で開いた記者会見で酒井孝典執行委員長は「24時間の契約はオーナーの命よりも重いのかを問いたい」と強調した。
セブン側は加盟店オーナーは独立した経営者という立場を取っており、団体交渉には応じないもよう。だが24時間営業の必要性を問う声は大きくなっている。
◎「セブン側」の反応は？
この記事は「コンビニ加盟店ユニオン」が「都内で開いた記者会見」を受けてのものだ。それに対する「セブン側」の反応は何としても入れたい。しかし「団体交渉には応じないもよう」と書いているだけで、コメントはない。この辺りはしっかり触れてほしい。
以下のくだりにも注文を付けたい。
【日経の記事】
FC方式では店舗の粗利益から算出するロイヤルティーを加盟店が本部に支払い、人件費などの店舗運営コストはオーナーが負担する契約だ。全国約5万5000店舗にまで広がったコンビニの成長モデルの根幹だが、人手不足や最低賃金の上昇により加盟店側の負担が大きくなっている。ある加盟店オーナーは「募集しても集まらず、従業員を選べる立場になく接客レベルも下がる悪循環だ」と話す。夜間のコンビニバイトはかつて作業が比較的楽だとして人材確保は難しくなかったが、今は様変わりしている。
だが24時間を見直せば加盟店の収支が改善するとは限らない。京都市の「ファミリーマート立命館大学前店」。深夜1時前、店舗の外看板の明かりが消えた。この店では2017年7月から本部との合意のもと、営業を短縮する実験を始めた。
オーナーの長谷川淳一さん（59）は「売り上げが5%程度減り収益も悪化してきた」という。ファミマでは複数店舗で実験をしたが「収支が成り立たず拡大していない」（ファミマ幹部）。
◎論点がズレてない？
「人材確保」が難しいから「終夜営業を見直すよう」に加盟店が求めているのが、今回の問題だ。「酒井孝典執行委員長は『24時間の契約はオーナーの命よりも重いのかを問いたい』と強調した」と記事でも書いている。「加盟店の収支」の問題ではない。なのに「だが24時間を見直せば加盟店の収支が改善するとは限らない」と記事では「収支」の話に持っていく。意図的かどうか分からないが、論点がズレている。
付け加えれば「24時間を見直せば加盟店の収支が改善するとは限らない」のは当然だ。深夜営業でしっかり稼いでいる店が「24時間を見直せば」必然的に「収支」は悪化する。逆に、バイトの人件費より深夜の売上高の方が少ないような店ならば、「終夜営業を見直す」と確実に赤字は減る。
「ファミマでは複数店舗で実験をした」と言うが、どんな店舗だったのかは記事では明らかにしていない。「売り上げが5%程度」減ったのは分かるが、費用削減効果などには触れていない。それで「収益も悪化」「収支が成り立たず」とだけ書かれても材料不足で判断しづらい。
「ビジネスTODAY」は基本的に署名入りだが、今回は関連記事の「24時間見直し 外食先行」を含めて無記名だ。この問題が日経の企業報道部にとって「扱わない訳にはいかないが、下手に扱えばセブン側との関係悪化を招く難しい案件」だと示唆している。
それにしても流通担当の中村直文編集委員は何をしているのか。セブン寄りの姿勢を貫くならば「加盟店は契約に従って24時間営業を続けるべきだ。記者会見を開いて泣き言を言うなど言語道断」と訴えてもいい。肝心な時に署名入りで記事を書けないのならば、編集委員としての存在意義はない。
※今回取り上げた記事「ビジネスTODAY～コンビニ『24時間』転機 セブン店主ら『選択肢与えて』 人手不足、加盟店に負担」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190228&ng=DGKKZO41843490X20C19A2TJ3000
※記事の評価はＣ（平均的）。
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