2019年2月23日土曜日

FACTAと大西康之氏に問う「 JIC問題、過去の記事と辻褄合う?」

ジャーナリストの大西康之氏は過去に自分が書いたこととの整合性を気にせずに新たな気持ちで記事を作る“特技”を持っているのだろうか。FACTA3月号に載った「JIC社長に『GPIFの水野』浮上」という記事は、2018年10月号で書いているた内容を否定するような中身になっている。
白池地獄(大分県別府市)※写真と本文は無関係です

過去に書いた内容が間違っていたのならば、そこはしっかりと総括してほしい。そこを省いて、整合性に問題のある記事を読者に届けてしまうのがFACTAと大西氏の悪い癖だ。FACTAには以下の内容で問い合わせを送った。

【FACTAへの問い合わせ】

大西康之様  FACTA 主筆 阿部重夫様  発行人 宮嶋巌様  編集長 宮﨑知己様

2019年3月号の「JIC社長に『GPIFの水野』浮上」という記事についてお尋ねします。記事の最初の方に「2兆円の投資枠を持つJIC」と書いていますが、最後の段落では「2兆円の融資枠を持つJICの周辺で暗躍する『セコ(世耕)友』は、森友・加計問題で一躍有名になった『アベ友』より、はるかに上手かも知れない」と「融資枠」になっています。

投資枠」も「融資枠」もともに「2兆円」という可能性も考慮しましたが、「JIC」に関する報道などから判断すると違うと思えます。「2兆円の融資枠」としたのは「2兆円の投資枠」の誤りではありませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

次に問題としたいのは、2018年10月号の「盗人に追い銭『産業革新機構』」という記事との整合性です。筆者はやはり大西様です。

今号で大西様は以下のように記しています。

昨年12月、11人の取締役のうち民間出身の9人が所轄の経済産業省と衝突して辞任を表明した産業革新投資機構(JIC)で、『ケンカ正(まさ)』こと田中正明社長(元三菱UFJフィナンシャル.グループ副社長)の後任に、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の水野弘道最高投資責任者(CIO、67)が浮上している。水野は世耕弘成経済産業大臣の『お友達』で、GPIF入りの時にも物議を醸した人物。田中、坂根正弘(元コマツ会長)、冨山和彦(経営共創基盤CEO)といった『うるさ型』を外してお友達を送り込み、2兆円の投資枠を持つJICをコントロールしようという野望が透けて見える

ここからは「田中正明」氏と「坂根正弘」氏は「うるさ型」であり、彼らが「取締役」にいると「JICをコントロール」しづらいと読み取れます。

一方、18年10月号では「とはいえ、志賀や勝又と同じく、田中や坂根も所詮は『雇われマダム』。4兆円を動かすのは彼らではなく、アベノミクスで我が世の春を謳歌する経産官僚だ」と解説しています。この記事では「ケンカ正(まさ)」や「うるさ型」といった話は出てきません。

今号では「辞任した9人は『日本でソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)をやるとしたら、これ以上は望めないメンバー』(金融関係者)だった」とも解説しています。「所詮は『雇われマダム』」の「田中」氏らを集めたところで、資金を動かすのは「アベノミクスで我が世の春を謳歌する経産官僚」のはずです。誰を取締役にしても同じではありませんか。

18年10月号では「田中のワントップでは税金を食い物にする魂胆が見え見え」とも書いていました。しかし、今号では「うるさ型」で「日本でソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)をやるとしたら、これ以上は望めないメンバー」の一員になっています。

2つの記事の食い違う説明はどう理解すれば良いのでしょうか。回答をお願いします。

推測ですが、18年10月号の記事では色々と見方が甘かったのでしょう。それを責めるつもりはありません。しかし、過去の記事と整合性に問題がある記事を何もなかったかのように載せるのは感心しません。

御誌では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。大西様に関しても同様です。記事の作り手としての良心に照らして適切な行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇

3月号の記事では以下のくだりにも問題を感じた。

【FACTAの記事】

発足時のJICが目指したSWFは運用益を最大化して国富を増やすことを目的としたはずだった。そのためにはクローズドな超一流の投資ファンドの世界にアクセスできる一流のファンドマネージャーが必要であり、グローバル水準の報酬体系を用意しないと一流のチームは組めないのは明白だ。



◎そんなもの要る?

クローズドな超一流の投資ファンドの世界にアクセスできる一流のファンドマネージャーが必要」という話は誰から聞いたのか。想像だが、「田中」氏あるいはその周辺の人に上手く丸め込まれたのではないのか。少し考えれば、おかしな話だと気付けるはずだ。
小石川後楽園(東京都文京区)※写真と本文は無関係です

記事の説明が正しければ「クローズドな超一流の投資ファンドの世界」では、市場平均を大幅に上回るリターンを継続的に確保できているはずだ。でなければ、そこに「アクセス」するために「一流のファンドマネージャー」に「グローバル水準の報酬」を支払う意味はない。

投資に関して高コストのアクティブファンドが不利なのは投資の世界の常識だ。「実力」で高リターンを実現しているアクティブファンドはほとんどないと見た方がいい。「一流のファンドマネージャー」ならば「実力」を見抜けるという可能性を完全には否定できないが、原則として高い報酬を払う意義は見出せない。

運用益を最大化して国富を増やすこと」が「目的」ならば、「ファンドマネージャー」に支払うコストは極力低くする方が合理的だ。「超一流の投資ファンドの世界にアクセスできないと成功は望めない」といった話に大西氏は怪しさを感じなかったのだろうか。


追記)結局、回答はなかった。


※今回取り上げた記事「JIC社長に『GPIFの水野』浮上
https://facta.co.jp/article/201903033.html

※記事の評価はD(問題あり)。大西康之氏への評価はF(根本的な欠陥あり)を維持する。大西氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。

日経ビジネス 大西康之編集委員 F評価の理由
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_49.html

大西康之編集委員が誤解する「ホンダの英語公用化」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/07/blog-post_71.html

東芝批判の資格ある? 日経ビジネス 大西康之編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/07/blog-post_74.html

日経ビジネス大西康之編集委員「ニュースを突く」に見える矛盾
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/01/blog-post_31.html

 FACTAに問う「ミス放置」元日経編集委員 大西康之氏起用
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/12/facta_28.html

文藝春秋「東芝前会長のイメルダ夫人」が空疎すぎる大西康之氏
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/05/blog-post_10.html

文藝春秋「東芝前会長のイメルダ夫人」 大西康之氏の誤解
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/05/blog-post_12.html

文藝春秋「東芝 倒産までのシナリオ」に見える大西康之氏の誤解
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/06/blog-post_74.html

大西康之氏の分析力に難あり FACTA「時間切れ 東芝倒産」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/06/facta.html

文藝春秋「深層レポート」に見える大西康之氏の理解不足
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_8.html

文藝春秋「産業革新機構がJDIを壊滅させた」 大西康之氏への疑問
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_10.html

「東芝に庇護なし」はどうなった? 大西康之氏 FACTA記事に矛盾
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/facta.html

「最後の砦はパナとソニー」の説明が苦しい大西康之氏
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/12/blog-post_11.html

経団連会長は時価総額で決めるべき? 大西康之氏の奇妙な主張
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/01/blog-post_22.html

大西康之氏 FACTAのソフトバンク関連記事にも問題山積
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/facta.html

「経団連」への誤解を基にFACTAで記事を書く大西康之氏
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/facta.html

「東芝問題」で自らの不明を総括しない大西康之氏
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/blog-post_24.html

大西康之氏の問題目立つFACTA「盗人に追い銭 産業革新機構」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/09/facta.html

FACTA「デサント牛耳る番頭4人組」でも問題目立つ大西康之氏
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/12/facta4.html

大西康之氏に「JIC騒動の真相」を書かせるFACTAの無謀
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/01/jicfacta.html

0 件のコメント:

コメントを投稿