2019年2月4日月曜日

日経「最適な交通検索、予約も支払いも」に感じた疑問

3日の日本経済新聞朝刊1面に載った「最適な交通検索、予約も支払いも~国交省がアプリ基盤」という記事には主に2つの疑問を感じた。記事の全文を見た上で具体的に述べたい。
グラバー園(長崎市)※写真と本文は無関係です

【日経の記事】 

国土交通省はアプリ1つでマイカー以外で目的地に行く最適な交通手段を検索し、予約や決済まで完了できる消費者向けシステムの構築に乗り出す。カーシェアなどシェアリングサービスを含む様々な交通サービスがデータをやり取りする共通基盤をつくる検討に入った。2019年度に課題を整理し、20年をめどに具体的な導入計画をつくることを目指す。

同省が目指すのは自家用車以外のすべての移動手段を1つのサービスとして提供する仕組み。欧州では「MaaS」(マース)で呼ばれ、取り組みが先行している。

例えばフィンランドで普及しているサービスは、利用者がアプリに出発地と到着地を入力すると、電車やバス、カーシェアなど様々な交通手段から最適な組み合わせが示される。交通経路の検索サービスは日本でもあるが、同国では予約や料金の支払いもスマホで完結する。料金は都度払いから定額払いまで複数から選べ、タクシー運賃が含まれるものもある。

国交省はこの日本版の立ち上げを目指す。日本では大手私鉄などが沿線地域での実証実験に取り組んでいる。こうした実験への支援を通じて課題を整理し、全国規模でサービスを展開できるシステムをつくる

中核となるのは交通各社のデータを集約し、決済するための基盤の構築だ。交通機関の時刻表や電車やバスの位置情報、混雑状況といったデータを交通事業者やアプリの提供会社などがやり取りできるようにする。

ただ他社とのデータ共有に難色を示す会社が出てくる可能性もある。小規模事業者も含めて連携を広げることが利便性を高める上で課題になる。

◇   ◇   ◇

まず「交通経路の検索サービスは日本でもあるが、同国では予約や料金の支払いもスマホで完結する」と書くと「同国日本」になってしまう。「同国フィンランド」と筆者は伝えたいはずだ。

ここから疑問点を挙げていく。

(1)「最適な組み合わせ」とは?

利用者がアプリに出発地と到着地を入力すると、電車やバス、カーシェアなど様々な交通手段から最適な組み合わせが示される」という説明が引っかかった。どの「組み合わせ」が「最適」かは人によって違う。安さ優先なのか、速さ優先なのか。遅くてもいいし料金が高くてもいいから座ってゆったり移動したい人もいるだろう。

フィンランドで普及しているサービス」では「利用者がアプリに出発地と到着地を入力する」だけで「最適な組み合わせが示される」らしい。「出発地と到着地」以外には何も希望を伝えなくても「アプリ」が「この人は急いでいるからスピード重視の組み合わせで…」などと判断してくれるのか。そうなら凄いが…。


(2)航空運賃も含めて「定額」?

目指すのは自家用車以外のすべての移動手段を1つのサービスとして提供する仕組み」なので、当然に飛行機や船も含むはずだ。「フィンランドで普及しているサービス」では「料金は都度払いから定額払いまで複数から選べ」るらしい。そして「国交省はこの日本版の立ち上げを目指す」。さらに「全国規模でサービスを展開できるシステムをつくる」という。

計画通りに行けば、飛行機を含めた交通機関をどれだけ利用しても「定額払い」で済むサービスが実現する。「定額」が月10万円と高額でも、1カ月の国内移動で飛行機も新幹線も乗り放題ならば、かなり画期的だしお得だ。なので「本当にそんなサービス実現するの?」とも思う。あるいは「定額払い」だと月100万円といった超高額になるのだろうか。


※今回取り上げた記事「最適な交通検索、予約も支払いも~国交省がアプリ基盤
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190203&ng=DGKKZO40836160S9A200C1MM8000


※記事の評価はC(平均的)。

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