平和公園の平和祈念像(長崎市) ※写真と本文は無関係です |
記事の全文は以下の通り。
【日経の記事】
ANAホールディングス(HD)は、民泊などシェアリングの利用を通じてマイルがたまるサービスを本格展開する。民泊大手エアビーアンドビーなど9社と連携し、旅先での宿泊やカーシェアと航空便を組み合わせて予約することを促す。シェアリングを通じて地方都市への誘客と国内線の利用拡大につなげたい考えだ。
民泊のほかペット向け民泊、個人間のカーシェア、撮影機材のシェアリングなどを手掛けるスタートアップなどと連携する。ANAが各種シェアリングサービスを紹介するウェブサイトを開設し、同サイト経由で予約をすると200円に付き1マイルを付与する。一部企業とはすでにマイル分野で連携を始めているが、クーポンの配布などと合わせて利用を促進する。
民泊の解禁などにより、パッケージツアーではなくこれまでと違った宿泊や体験を好む個人客が増えている。マイルを通じてシェアリングサービスに関心がある顧客を囲い込む。
一方、大都市圏への人口集中や少子高齢化、格安航空会社(LCC)の台頭などにより、将来的に航空大手は国内線の利用減が懸念されている。地方への誘客につながるシェアリングサービスと連動させることで国内線利用の需要を喚起したい考えだ。
◇ ◇ ◇
記事の問題点を列挙してみる。
(1)いつから「本格展開」?
「ANAホールディングス(HD)は、民泊などシェアリングの利用を通じてマイルがたまるサービスを本格展開する」と打ち出しているのに、いつから「本格展開する」のかは最後まで読んでも分からない。「各種シェアリングサービスを紹介するウェブサイトを開設」するのならば、その時期を書けば済む。決まっていないならば、そう伝えるべきだ。
(2)新たにどこと「連携」?
「民泊大手エアビーアンドビーなど9社と連携」と書いた後で「一部企業とはすでにマイル分野で連携を始めている」とも述べている。ならば、今回の「本格展開」で連携」先が何社増えて、それがどの企業なのかがこのニュースの肝だ。なのに、そこをボカしている。
唯一企業名が出てくる「エアビーアンドビー」でさえ新たに加わるのかどうか判断できない。「ペット向け民泊、個人間のカーシェア、撮影機材のシェアリングなどを手掛けるスタートアップなどと連携する」と書いて具体名を出さないのも感心しない。
最後の段落のような背景説明よりも「連携先は何社増えるのか」「どの企業と連携するのか」の方が重要だ。
そこに触れていないのは、書き手の力量がないのか。それとも後ろめたい部分があるのか。
ちなみに「エアビー、民泊+航空券で日本開拓 全日空とサイト」という2017年11月7日付の日経の記事では「(全日空とエアビーが共同運営する)サイトを通じてエアビーの宿泊先に泊まると、宿泊料金に応じて最大200マイルがたまる」と報じている。
この「連携」が今も続いているのならば、「一部企業とはすでにマイル分野で連携を始めている」という話は「エアビーアンドビー」を含むのだろう。なのに、それを明らかにせず記事を書き、見出しでも「エアビーなど9社と連携」と打ち出したとすれば、読者を騙していると言われても仕方がない。
(3)同じ話をなぜ繰り返す?
「シェアリングを通じて地方都市への誘客と国内線の利用拡大につなげたい考えだ」と最初の段落で書いているのに、「地方への誘客につながるシェアリングサービスと連動させることで国内線利用の需要を喚起したい考えだ」と同じような話が最後にまた出てくる。
意味のない繰り返しであり、紙面の無駄遣いだ。実質的な情報量がどんどん少なくなってしまう。企業報道部のデスクは何も注意しないかもしれないが、プロと呼ぶに値する書き手を目指すならば、この手の繰り返しは避けるべきだ。
※今回取り上げた記事「ANA、民泊でマイル エアビーなど9社と連携」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180925&ng=DGKKZO35693850U8A920C1TJC000
※記事の評価はE(大いに問題あり)。
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