伊都国歴史博物館(福岡県糸島市)※写真と本文は無関係です |
【東洋経済への問い合わせ】
週刊東洋経済 編集部 野村明弘様
9月8日号の「集中連載 経済覇権争う米中~リーマンショック10年 今そこにあるリスク 第1回 ドルvs.人民元 経済覇権争う米中」という記事についてお尋ねします。質問は大きく分けて2つです。
<質問1>
まずは以下のくだりに関してです。
「だが米国の影響下にあるIMFは、新興国に資金支援を行う際、財政支出削減などの構造改革を勧告する。98年のアジア通貨危機では、この勧告がかえって新興国の経済や社会を混乱させたとして批判が強まり、新興国はIMFを忌避する傾向が強い」
「98年のアジア通貨危機」と書いていますが、一般的には「97年」ではありませんか。ちなみに8月29日付の東洋経済オンラインに載った 「トルコリラ暴落後の『大惨事』はありえるのか~危険を知らせる市場のカナリアかもしれない」という記事では「この数十年で、世界は数多くの金融危機に見舞われた。1990年代以降だけでも、1994年のメキシコ通貨危機、1997年のアジア通貨危機、1998年のロシア、ブラジル通貨危機と続いた」と記しており、野村様の説明と食い違っています。
「98年の段階でアジア通貨危機は完全には収束していなかった」との弁明は可能かもしれませんが、その場合は「97~98年のアジア通貨危機」などとすべきでしょう。「98年のアジア通貨危機」との説明は誤りではありませんか。
<質問2>
次は一帯一路に関してです。記事では以下のように説明しています。
「一帯一路は、13年に習主席が提唱した経済・外交圏構想だ。左上図のように中国─中央アジア─欧州を結ぶ『陸のシルクロード』(一帯)と、中国─東南アジア─インド─アフリカ─中東─欧州を結ぶ『海のシルクロード』(一路)から成る」
これを信じれば、北米、南米、オセアニアは「一帯一路」に入らないはずです。しかし、記事に付けた「一帯一路の沿線諸国と通貨スワップ協定を結び人民元の国際化を狙う」というタイトルの地図では中国から南米のチリに向けて「一路(海のシルクロード)」の矢印が伸びています。
調べた範囲では、南米に向かう「一路」は確認できませんでした。このルートは誤りではありませんか。もし正しいのであれば、その場合は「中国─東南アジア─インド─アフリカ─中東─欧州を結ぶ『海のシルクロード』(一路)」という説明が間違っているのでしょうか。
仮に「一路」がチリ(あるいは南米)に向かっているとしても、カナダや米国は「沿線諸国」には入らないはずです。しかし、今回の地図ではカナダを「一路」に含めて「通貨スワップ協定」の金額を載せています。これは誤りではありませんか。それとも「一帯一路」は北米も含むとの認識なのでしょうか。
付け加えると、韓国を「一帯(陸のシルクロード)」に含めているのも気になりました。「中国─中央アジア─欧州を結ぶ」のが「一帯」だとすると、韓国は入らないはずです。
「一路」に南米やオセアニアが入らない場合、アルゼンチン、チリ、スリナム、オーストラリア、ニュージーランドを「一路」の「沿線諸国」としたのも誤りとなります。
欧州に関しては、アイスランドと英国が「沿線諸国」に入らないと思えます。アフリカに関しても、「沿線諸国」に含めたモロッコ、ナイジェリア、南アフリカは「一帯一路」のルートから大きく離れています。今回の地図はかなり問題が多いのではありませんか。
問い合わせは以上です。回答をお願いします。御誌では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。
◇ ◇ ◇
追記)結局、回答はなかった。
※今回取り上げた記事「集中連載 経済覇権争う米中~リーマンショック10年 今そこにあるリスク 第1回 ドルvs.人民元 経済覇権争う米中」
https://dcl.toyokeizai.net/ap/registinfo/init/toyo/2018090800
※記事の評価はD(問題あり)。野村明弘記者への評価はC(平均的)からDへ引き下げる。
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