2017年6月13日火曜日

基本情報が欠けた日経「三菱地所、欧州で事業拡大」

13日の日本経済新聞朝刊企業1面に載った「三菱地所、欧州で事業拡大 ビル取得、独に進出 米国依存脱却めざす」という記事には基本情報が欠けている。話の柱は「欧州で事業拡大」のはずだが、現状でどの程度の事情規模なのかも、いつごろまでにどの程度の拡大を見込んでいるのかも触れていない。
夜明駅(大分県日田市)※写真と本文は無関係です

記事の全文は以下の通り。

【日経の記事】

三菱地所が欧州事業を拡大する。ドイツで初めての物件となるミュンヘンのオフィスビルを取得。2010年に子会社化した英不動産ファンド運営会社の情報網を活用しながら、今後も欧州全域で不動産の開発・賃貸物件の展開を視野に入れる。米子会社のロックフェラーグループに依存した海外事業の構造転換を目指す。

取得したのは「フェリンガーストラッセ」。地上5階、地下2階建てで、貸し付け有効面積は約2万2000平方メートル。ミュンヘン国際空港と中心部を結ぶ幹線道路に近く、空港まで車で20分と好立地だ。完成は03年で、IT(情報技術)や金融、メーカーなど幅広い企業が入居している。取得額は非公表。ミュンヘンは独シーメンスやBMW、半導体大手のインフィニオンテクノロジーズ、保険大手のアリアンツなどが本社を構えるドイツ有数の産業集積都市だ。三菱地所は今後もオフィス需要が底堅く推移するとみている。

◇   ◇   ◇

フェリンガーストラッセ」の取得については13日に三菱地所が発表しているので、事前にニュースリリースを得ていたのだろう。それはそれでいい。だが、今回の記事の内容ならば「三菱地所はドイツに進出した」とでも書き始めるべきだ。

話を大きく見せるために「三菱地所が欧州事業を拡大する」と書いたのならば、それに合わせた内容にする必要がある。「欧州事業をいつまでにどのぐらい拡大するのか」は絶対に入れるべき基本情報だ。それを丸ごと抜いて読者に提供する気が知れない。記者の責任も重いが、企業報道部のデスクの責任はさらに重い。

基本情報を盛り込む行数は簡単に捻り出せる。「ミュンヘンは独シーメンスやBMW、半導体大手のインフィニオンテクノロジーズ、保険大手のアリアンツなどが本社を構えるドイツ有数の産業集積都市だ。三菱地所は今後もオフィス需要が底堅く推移するとみている」というくだりは、削っても何の問題もないはずだ。

米子会社のロックフェラーグループに依存した海外事業の構造転換を目指す」と書いたのだから、海外事業でどの程度を「米子会社のロックフェラーグループに依存」しているかも触れたいところだ。

必須でない情報を盛り込んで必須の情報を省く--。記事の書き方の基礎を記者もデスクも身に付けていないと言うほかない。


※今回取り上げた記事「三菱地所、欧州で事業拡大 ビル取得、独に進出 米国依存脱却めざす

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170613&ng=DGKKZO17593370S7A610C1TJ1000

※記事の評価はD(問題あり)。

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