2017年6月10日土曜日

山口敬之氏の問題「テレビ各局がほぼ黙殺」は言い過ぎ

常盤橋(北九州市)※写真と本文は無関係です
元TBSテレビ報道局ワシントン支局長のジャーナリスト山口敬之氏(51)」に関する問題を、日経ビジネス6月12日号の「小田嶋隆の『Pie in the sky』~絵に描いた餅ベーション」というコラムで「いま、テレビ局にできること」との見出しを付けて取り上げている。小田嶋氏は優れた書き手だと思うし、記事の主張にも基本的に賛同できる。ただ、山口氏の問題を「テレビ各局がほぼ黙殺している」と述べているのは引っかかった。自分はこの件をテレビの報道で知ったからだ。

まず、コラムの中身を見てみよう。

【日経ビジネスの記事】

(週刊新潮の)記事の細部にわたる真偽はともかくとして、私が個人的に違和感を覚えているのは、週刊新潮の報道と、5月29日の被害女性による記者会見を、テレビ各局がほぼ黙殺していることだ。

◇   ◇   ◇

では、実際どうだったのか。この件を報じているニフティニュースの5月30日付の記事では、以下のように説明している。

【ニフティニュースの記事】

さらに、テレビのほうは、NHKは無論、民放キー局でも、山口氏の古巣であるTBSの『NEWS23』や『ひるおび!』、コメンテーターとして山口氏を重宝していたフジテレビの『とくダネ!』『直撃LIVEグッディ!』はスルー。フジと同様に山口氏を番組で起用していたテレビ朝日は、29日の『報道ステーション』は報道しなかったが、30日朝の『羽鳥慎一モーニングショー』と『ワイド!スクランブル』は伝え、番組でバラツキがあった。

 唯一、山口氏を起用してこなかった日本テレビは、29日夕の『news every.』にはじまり、夜の『NEWS ZERO』、30日朝の『ZIP!』『スッキリ!!』でも紹介。読売テレビ制作の『情報ライブ ミヤネ屋』までが取り上げた。

◇   ◇   ◇

この記事の説明が正しいのならば、山口氏の問題を「テレビ各局がほぼ黙殺している」とは言い難い。「テレビ各局で対応が分かれている」辺りが適当だと思える。「黙殺するテレビ局が多かった」ぐらいならば分かるが、「ほぼ黙殺」は不正確だ。例えば1社がごく小さく報道しただけならば「ほぼ黙殺」だろう。だが、複数のテレビ局が様々な番組で取り上げているのに「ほぼ黙殺」では、苦しい。

自分が見たのは「NEWS ZERO」だったような気がする。日本テレビには「山口氏を起用してこなかった」という事情があるのかもしれないが、少なくとも遠慮がちに報道しているとは感じられなかった。

黙殺」ではなく「ほぼ黙殺」だから、小田嶋氏としては何とでも弁明できる。ただ、今回のコラムで小田嶋氏はテレビ局の在り方を問うている。そして「テレビ各局がほぼ黙殺している」という点は、小田嶋氏が主張を組み立てる出発点にもなっている。なのに「ほぼ黙殺」が事実として怪しければ、説得力は足元から崩れてしまう。

日本テレビがきちんとこの問題を報じているのであれば、その事実は小田嶋氏もコラムの中で尊重すべきだ。各社の対応に大きな差があるのに、十把一絡げに「テレビ各局がほぼ黙殺している」とまとめるのは雑すぎる。そこは反省してほしい。


※記事の評価はD(問題あり)。小田嶋隆氏への評価はA(非常に優れている)を維持するが、弱含みではある。

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