2016年8月23日火曜日

こっそり「正しい説明」に転じた週刊ダイヤモンド岡田悟記者

自らの不手際を棚に上げたまま、あれこれと他社を論評して心は痛まないのだろうか。週刊ダイヤモンド8月27日号「DIAMOND REPORT~日本版[『不動産テック』の隔靴掻痒 ヤフー・ソニー不動産連合がはまった隘路」という記事を読んで、そう思わずにはいられなかった。
水前寺成趣園(熊本市) ※写真と本文は無関係です

筆者の岡田悟記者は2015年11月21日号の「Close Up~マンション仲介手数料“中抜き” ヤフー・ソニーが目論む“流通革命”」という記事の中で「ヤフーとソニー不動産がスタートさせたウェブ仲介サービス『おうちダイレクト』」に関して誤った説明をしてしまった。さらには、読者からの間違い指摘を無視。そして今回の記事では、何もなかったかのように「正しい説明」に転じている。

まずは2015年11月21日号の記事に関する週刊ダイヤモンド編集部への問い合わせ内容を見てほしい。

【ダイヤモンドへの問い合わせ】

週刊ダイヤモンド11月21日号の「マンション仲介手数料“中抜き” ヤフー・ソニーが目論む“流通革命”」という記事についてお尋ねします。記事では「おうちダイレクト」というサービスに関して「売り手と買い手の接触から価格交渉まではサイト上でできてしまう」と書かれています。しかし、このサービスに関するニュースリリースを見ると、「(ウェブサイト上で)購入検討者は『ダイレクト物件』についての詳細を把握できるようになり、また所有者はその物件のアピールポイントを、購入検討者に直接伝えることが可能となります」との記述があるものの、注記事項として「価格等の売買条件に関するやりとり・交渉等を行うことはできません」と明記されています。つまり、記事中の説明と矛盾します。「価格交渉まではサイト上でできてしまう」という記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題ないとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

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サイト上での売り手と買い手の価格交渉は認められていないのに、岡田記者は「価格交渉まではサイト上でできてしまう」と書いてしまった。ニュースリリースには「価格等の売買条件に関するやりとり・交渉等を行うことはできません」と明記してあるのだから、誤った説明をした責任はダイヤモンド側にある。なのに、ミスを指摘されてもダイヤモンドは完全無視の姿勢を貫いた。

そして8月27日号の「DIAMOND REPORT」では以下のように説明している。

【ダイヤモンドの記事】

既存の不動産流通に風穴を開けると宣言し、昨年11月にヤフーとソニー不動産がスタートさせたウェブ仲介サービス「おうちダイレクト」の伸び悩みが指摘される。日本では「不動産テック」は浸透しないのだろうか。

中略)おうちダイレクトは、ソニー不動産が仲介するとはいえ、あくまで決済などの手続きを「サポートする」にとどまり、売り手の希望額を成約可能なものに近づける機能が不十分。そのため「売り手の願望がひたすら並んでいるだけのサイトになってしまった」(業界関係者)。

それならば、初めからユーザー同士がサイト内で価格交渉し、個人間売買ができるシステムとして設計すれば、実に革新的な不動産マッチングサイトとなっていた可能性が高い

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2015年11月21日号の記事で、「売り手と買い手の接触から価格交渉まではサイト上でできてしまう」と「革新的な不動産マッチングサイト」であるかのような持ち上げ方をしていたのに、今頃になって「初めからユーザー同士がサイト内で価格交渉し、個人間売買ができるシステムとして設計すれば、実に革新的な不動産マッチングサイトとなっていた可能性が高い」などと書ける神経が凄い。

そもそも「おうちダイレクト」に大した革新性がないのは、ニュースリリースを読めばすぐに分かる。「既存の不動産流通に風穴を開けると宣言」した「ヤフーとソニー不動産」に岡田記者が乗せられてしまっただけの話だ。そして記事中での説明を誤り、間違い指摘を無視した上で、今回の記事では何もなかったかのように「正しい説明」に転じてしまった。

岡田記者には、読者に対して自らの不明をまず恥じてほしい。全てはそこからだ。


※8月27日号の記事に限れば評価はC(平均的)。岡田悟記者への評価はF(根本的な欠陥あり)を維持する。今回の件については「週刊ダイヤモンドも誤解? ヤフー・ソニーの『おうちダイレクト』」を参照してほしい。

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