2016年8月2日火曜日

週刊ダイヤモンド「LCC乱気流」で須賀彩子記者に誤り?

週刊ダイヤモンドの須賀彩子記者が8月6日号で特集2「愛憎渦巻く人間模様 LCC乱気流」を担当していた。須賀記者に関しては素人臭さが目立つとこれまで指摘してきたが、今回の特集にはその匂いが感じられなかった。ただ、記事には誤りと思える記述があった。ダイヤモンドへ問い合わせた内容は以下の通り。
成田空港(千葉県成田市)のジェットスター機

【ダイヤモンドへの問い合わせ】

8月6日号の特集2「愛憎渦巻く人間模様 LCC乱気流」についてお尋ねします。問題となるのは99ページの「スカイマークは日本航空(JAL)陣営にもANA陣営にも属さない唯一の新興航空会社だったが、15年1月の経営破綻に伴いスカイマークの抵抗もむなしく、ANAの資本が入った」との記述です。当時、国内ではフジドリームエアラインズという鈴与100%出資の新興航空会社がありました。2014年に日本での運航を始めた春秋航空日本は中国の春秋航空股分有限公司のグループ会社であり、JALやANAの陣営に属してはいません。2015年当時、スカイマーク以外にも「JAL陣営にもANA陣営にも属さない新興航空会社」があったのではありませんか。

記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすればその根拠も併せて教えてください。

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上記の部分を除けば大きな問題はないが、ジェットスターとピーチが明暗を分けた理由については分析が甘いと思えた。そのくだりも見てみよう。

【ダイヤモンドの記事】

しかしJALは、カネは出しても経営への関与には距離を置き続けた。「世界的に大手航空会社がLCCを手掛けて成功した例は少ない」というのがその理由。唯一、カンタスがジェットスターを成功させているとして、経営はカンタスに委ねたのだ

人材面でも、ANAが、社長をはじめ経営企画などピーチの主要部門にエース級人材を“片道切符”で転籍させたのに対して、JALはジェットスター・ジャパンに、整備などの現場を除いた経営の中枢部には、「出向」のかたちで取締役1人を送り込んだにすぎなかった。

こうしたJALの腰の引けた姿勢により、拡大路線をひた走るカンタスの暴走を止めることができず、業績不振に陥ったのだった。

それでも、16年6月期にはどうにか黒字化できるもよう。関空の拠点化や、国際線への進出で1日の機材稼働時間は9時間を超え、路線見直しなどによって平均搭乗率も1年で9ポイントも改善。資金繰りも落ち着き、15年8月を最後にニューマネーも要していない。

ただ、ここにきてピーチは、「20年のオリンピックまでに30機体制にしたい」(井上社長)と拡大戦略を描くのに対し、ジェットスター・ジャパンは、「17年中にあと1機増やして21機体制にする。その先は未定」(片岡優会長)と保守的になってきた。このままでは、こだわってきた規模でもピーチに追い抜かれてしまう。

LCCビジネスに真正面から本気で取り組んでいったANAに対し、及び腰だったJAL。この両社の姿勢の違いが、LCCビジネスの明暗を分けたといえそうだ。

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カネは出しても経営への関与には距離を置き続けた」JALを須賀記者は「及び腰」と評している。そうだろうか。例えば買収した企業の経営者に対し「必要ならばカネはたっぷり出す。経営は引き続き任せるから自由にやってみなさい」というオーナーがいたら「この人は及び腰だなぁ」とは思わないだろう。「太っ腹」と評する方がしっくり来る。

経営は自ら関与する方がうまくいくとは限らない。「世界的に大手航空会社がLCCを手掛けて成功した例は少ない」「唯一、カンタスがジェットスターを成功させている」という状況であれば、カンタスに任せるのは合理的だ。JALがやれば成功する確率はもっと高かったとは言い切れない「(日本以外で)ジェットスターを成功させている」カンタスが日本ではなぜ躓いたのかを須賀記者には解説してほしかった。


※特集全体の評価はC(平均的)。記事中の「スカイマークは日本航空(JAL)陣営にもANA陣営にも属さない唯一の新興航空会社だった」という説明はおそらく誤りだが、ダイヤモンドの体質を考えると、回答が届く可能性はゼロに近い。間違い指摘を無視するならば、E(大いに問題あり)としている須賀彩子記者への評価はF(根本的な欠陥あり)に引き下げるしかない。

※須賀記者に関しては「素人くささ漂う ダイヤモンド『回転寿司 止まらぬ進化』」「週刊ダイヤモンド 素人くささ漂う須賀彩子記者への助言」「ロイヤル社長を愚か者に見せる週刊ダイヤモンド須賀彩子記者」「週刊ダイヤモンド須賀彩子記者の『解決できない構造問題』」も参照してほしい。

追記)結局、回答はなかった。

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