日本経済新聞のワクチン推しに大きな変化はないようだ。3日の朝刊総合1面に載った「接種の加速へ国は前面に立て」という社説でも「海外の知見によると、追加の接種によって入院予防効果が改善する。オミクロン型が大流行している今こそ、接種を急がねばならない」と訴えている。この主張の問題点を指摘してみたい。
久留米市街 |
1月30日付の「第6波重症化率、第5波の25分の1~コロナで民間試算」という日経の記事によると「東京大学の仲田泰祐准教授ら」が「東京都の重症者の定義で試算したところ、2021年12月半ばからの感染拡大の『第6波』を巡り、現在の重症化率は0.03%となった」らしい。これを前提に考えてみよう。
「入院予防効果」と「重症予防効果」は同じものではないが、かなり重なる。なのでここでは重症化を予防するために「追加の接種」を急ぐべきかを検討する。
簡略化のために、「追加の接種」をした人はまだゼロで、「追加の接種」によって重症化は完全に防げる仮定しよう。
「追加の接種」率が8割になると「重症化率は0.03%」から0.01%未満へ下がることは下がる。ただ、元々の「重症化率」が低いので「非常に低い重症化率がわずかに下がっただけ」とも取れる。それでも「追加の接種」に意味があるだろうか。
医療体制への影響を考えれば多少はプラスかもしれない。ただ、個人レベルでは副作用のデメリットを上回る利益は期待薄だ。「重症化率」が元々低い若年層に至っては「ほぼゼロのリスクに対応するために、かなりの確率で発熱するワクチンをさらに打つ」という選択になる。
健康面だけを考えれば「接種はしない」との判断になるのが当然だ。
「感染が拡大するのを防げる」との反論も考えられるが、今回の社説でも「海外の知見によると、追加の接種によって入院予防効果が改善する」とは書いているが、感染拡大を防ぐ効果には触れていない。
「オミクロン型が大流行している今」となっては「ワクチンをいくら打っても『大流行』を防げない」ことを経験則として多くの国民が学んでいる。それでも「接種を急がねばならない」のか。日経の論説委員らも、そろそろ考えを改めてはどうか。
「ワクチンが無駄になる事態を避けたい」といった話は本末転倒だ。「無駄」を避けるために不必要な接種を推進しても国民の利益にならない。「ワクチン」接種にメリットしかないのならば「無駄になる事態」は避けるべきだ。しかしデメリットもある。そのぐらいは日経の論説委員も分かっているはずだ。
経験的に言うと、今月中にも「オミクロン型」の「大流行」は終わるだろう。それでも、3月以降にはオミクロン特化型のワクチンが出てきそうだ。
「追加の接種」を終えた人たちに、さらにオミクロン特化型の接種を勧めるのか。その後に新たな変異株が登場すると「オミクロン特化型の通常接種では不十分。追加接種だ」となり、さらに新たな変異型に特化したワクチンが出てきて…と続きそうな雰囲気はある。
ワクチン好きの大人が何回接種しようと本人の勝手だ(公費負担の問題はここでは考えない)。リスクの高い一部の人たちを除けば「追加の接種」は愚かな行為だと思うが、止めるつもりもない。
ただ、日経は社会への大きな影響力を持っている。いつまでもワクチン推しでいいのか。そろそろ立ち止まって考える時期だ。
※今回取り上げた社説「接種の加速へ国は前面に立て」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220203&ng=DGKKZO79804570S2A200C2EA1000
※社説の評価はD(問題あり)
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