2021年12月12日日曜日

人口「10年で1100万人減」は「深刻」? 鈴木貴博氏が書いた東洋経済オンラインの記事に異議あり

人口減少を日本の大問題と見る主張に説得力を感じない。12日付で東洋経済オンラインに載った「日本人は急速な人口減の深刻さをわかっていない~今後10年で1100万人減の現実にどう対処するか」という記事もそうだ。「日本人は急速な人口減の深刻さをわかっていない」と百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏は言うが、最後まで読んでも「深刻さ」 は伝わってこない。

ハングライダー発進基地からの景色

深刻さ」を訴えた部分を見ていこう。

【東洋経済オンラインの記事】

日本の人口は減少に転じてからは放物線を描くように人口減少が始まると予測されています。最初のうちは減少率が小さいのですが、徐々に加速がついて減少幅が大きくなる。とりあえずここまでの5年間が178万人減で、ここからの10年は1100万人減少というペースで減っていくわけで、やがて人口は半減し遠い将来には「日本人は消滅する」とまでまことしやかに言われているぐらいです


◎「消滅」してはダメ?

ここからの10年は1100万人減少というペースで減っていく」らしい。それでも人口1億人を割らない。狭い日本に人間は1000万人もいれば十分と個人的には見ている。それでも、日本より広いスウェーデンと同じぐらいの人口だ。

消滅」に関しては「遠い将来」の話で「まことしやかに言われている」程度のことならば今から心配する必要はない。戦争や飢饉は避けたいが、人々の自由な選択によって少子化が進行し「消滅」に至るなら、それも悪くない。そもそも「遠い将来」を長めに捉えれば人類全体が「消滅」してしまう運命だ。

結局、何がそんなに「深刻」なのか、よく分からない。しかし、この後「それではどうすればいいのか?という話」に移ってしまう。

記事の結論部分も見ておこう。


【東洋経済オンラインの記事】

いずれにしても1つだけ確実に当たる未来予測があります。それは2030年、2040年の日本人人口が1000万人、そして2000万人規模で減少していくということです。

指をくわえてそれを見ていれば日本社会も沈没していく。働き手が不足して高齢者が孤立する人口ピラミッド崩壊社会が出現するのです。それに歯止めをかける有効な手段は、外国人労働者を増やすことと、農村部から先にデジタル未来都市化と進めていくこと。

その危機感を共有するには、冒頭の「日本の総人口が5年前より94万人余減少」という情報開示のあり方は、問題を矮小化するという意味でよくないやり方だったのではないかと私は思うわけです。テレビドラマに引っ張られての感想かもしれませんが皆さんはどう思われますか。


◎日本社会が「沈没していく」?

人口が減少する中で「農村部」で「高齢者が孤立する」ことはあるだろう。今でも、それほど珍しくないはずだ。だからと言って「日本社会」が「沈没」している感じはない。「人口ピラミッド崩壊社会」の具体像は判然としないが「働き手が不足して高齢者が孤立する」だけならば大した問題ではない。鈴木氏自身も「農村部から先にデジタル未来都市化と進めていくこと」で解決できると唱えている。

高齢者」が都市部に移住する手もあるだろうし、「農村部」で「孤立」して生きていってもいい。何の問題も生じないとは言わないが「日本社会」の「沈没」とか「人口ピラミッド崩壊社会」と煽るほどの危機なのか。

人口減少にはプラス面もある。持続可能性を重視するならば、人口が減るのは悪くない。今世紀中に日本の人口が2億人を超えそうな場合、破滅的な未来が待っていそうな気がする。一方、人口半減であれば歓迎したいぐらいだ。

「22世紀の日本では関東と関西以外にはほとんど人が住んでいない」といった未来も、自分は抵抗なく受け入れられる。他の惑星に人類が大量移住できそうな状況になれば話は別だが、日本を含め世界の人口は減っていい。地球にしか居住空間がない中で人間が増えていけば、戦争や飢饉を誘発しやすい。そこは「深刻」に考えるべきだろう。


※今回取り上げた記事「日本人は急速な人口減の深刻さをわかっていない~今後10年で1100万人減の現実にどう対処するか

https://toyokeizai.net/articles/-/474262


※記事の評価はD(問題あり)

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