金を「安全資産」に分類する書き手を信じるな。投資関連の記事で、この原則は覚えておいていい。その意味で18日の日本経済新聞朝刊マネーのまなび面に「増やす&得する貴金属投資、リスク抑える~金や白金、まずは積み立て」という記事を書いた北川開記者は信頼に値しない。「金など貴金属は安全資産とされる」と言い切っている。その理由に触れている部分を見ていこう。
大バエ灯台から見た海 |
【日経の記事】
金が安全資産といわれるのは、企業や国の破綻で無価値になる場合がある株や債券とは違い、金は価値がゼロにならないと考えられているためだ。希少性から金自体が価値を持ち、経済不安が意識されると買われやすい。
◎国債は「安全資産」じゃない?
上記の説明を踏まえて「金が安全資産」かどうか考えてみよう。
auカブコム証券の用語集では「安全資産」を「預金、国債、元本保証付きの保険商品や年金など、相場変動などによる元本割れのリスクが無く、基本的には元本が保証されている資産のこと」だと解説している。ちなみに同じ用語集で「無リスク資産」とは「元本が保証された安全資産のこと」という記述もある。
この定義に照らせば「金が安全資産」でないのは明らかだ。一方「国債」は「安全資産」に入る。
北川記者はどう反論するだろうか。「国が滅びても無価値にならない資産が安全資産だと自分は定義している」と主張してきたとしよう。だとしたら「貴金属」だけでなく、原油、鉄鉱石、ゴムなど多くの商品(コモディティ)が「安全資産」となるはずだ。
「国債は安全資産ではないが、原油は安全資産」となってしまい、一般的な認識とはかなりズレる。北川記者はそういう認識なのか。
仮にそうだとしよう。この認識に従って「安全」な投資をするとどうなるのか。「今までは余裕資金を個人向け国債に振り向けてきたのですが、安全性を重視して安全資産である金で運用することにしました。この方が安全ですよね」と投資初心者が聞いてきたら北川記者はどう返すのか。
「確かにその方が安全だね」と自信を持って言えるのか。
※今回取り上げた記事「増やす&得する貴金属投資、リスク抑える~金や白金、まずは積み立て」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210918&ng=DGKKZO75850020X10C21A9PPM000
※記事の評価はD(問題あり)。北川開記者への評価はDで確定させる。北川記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。
「コメの需要」に関する分析が一面的な日経 北川開記者https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/07/blog-post_2.html
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