藤波ダム(福岡県うきは市)※写真と本文は無関係です |
「ネットと民主主義」で本当に「相克」が深まっているのか。記事を見ていこう。
【日経の記事】
トランプ米大統領が28日、ツイッターなどSNS(交流サイト)の規制強化に向けた大統領令に署名した。SNSの運営会社が投稿内容に介入するのをけん制する狙いがある。民主主義を強固なものにすると熱狂的に迎えられたはずのネット。世論を乱し混乱をまねきかねない現実もある。ネットの理想を取り戻せるか。
◎そんな話あった?
「民主主義を強固なものにすると熱狂的に迎えられたはずのネット」という説明がまず引っかかる。個人的には「熱狂的に迎え」た記憶はない。社会の中で自分が例外だと感じたこともない。
取りあえず「民主主義を強固なものにすると熱狂的に迎えられた」のだとしよう。そして「世論を乱し混乱をまねきかねない現実もある」と認めよう(「まねきかねない」は「招きかねない」と表記してほしかった)。だからと言って「ネットと民主主義」に「相克」が深まっていると言えるだろうか。
多様な意見や情報が自由に飛び交えば「混乱」が起きることもあるだろう。それは「民主主義」を弱めている訳ではない。「民主主義」とは「人民が権力を所有し行使する政治形態」(デジタル大辞泉)を指す。現実が「ネットの理想」とかけ離れているとしても「人民が権力を所有し行使する政治形態」が揺らいでいないのならば、「民主主義」との「相克」を心配する必要はない。
では、今回の「トランプ米大統領」と「ツイッター」の件はどうなのか。記事の続きを見ていこう。
【日経の記事】
米国では通信品位法230条によってSNS会社が保護されている。内容が不適切だとして投稿の閲覧制限、削除をして利用者に訴えられても会社は法的責任を問われない。大統領令は免責対象を狭めようとしている。
きっかけはトランプ氏の投稿に対し、誤解される恐れのある情報を含むとして閲覧者に事実確認するようツイッターが注記したことだ。「SNSを強力に規制するか、閉鎖させる」。トランプ氏は怒りを爆発させた。
◎「民主主義」だからこそ…
今回の件は「トランプ氏の投稿に対し、誤解される恐れのある情報を含むとして閲覧者に事実確認するようツイッターが注記したこと」が「きっかけ」だと村山氏も書いている。つまり、自由に情報発信したい「トランプ氏」と、それに注文を付けた「ツイッター」との対立と言える。「トランプ氏」が言論の自由を奪おうとしているのではない。自らの「言論の自由」を強く求めているとも言える。
「SNSを閉鎖させる」となれば問題はあるが、今のところ「ネットと民主主義」に大きな「相克」は感じられない。米国が「民主主義」の国だからこそ今回のような問題が起きるのではないか。「ネット」上も含めて多様な意見がぶつかり、解を見つけていくことで「民主主義を強固なもの」にできるという考え方も成り立つ。
記事の続きを見てみよう。
【日経の記事】
ツイッターやフェイスブックなどSNSが相次ぎ誕生した2000年代半ば、「ウェブ2.0」の潮流が起きた。誰もが情報の受け手、送り手になれる時代の到来だ。様々な意見の交換、英知の結集ができ、民主主義を前進させるとの声があがった。が、目の前の事態は理想から遠い。
◎「ネット」に期待し過ぎでは?
「(ネット上では)様々な意見の交換、英知の結集ができ、民主主義を前進させるとの声があがった。が、目の前の事態は理想から遠い」と村山氏は言う。随分とお行儀の良い世界を「理想」として描いているのだろう。
「ネット」の現実には色々と醜い部分もある。個人的には、それが当たり前だと思う。それでも言論の自由は大切だと感じる。「様々な意見の交換、英知の結集」をするために言論の自由を認めるならば、汚い部分も必ず付いてくる。それでも「民主主義」を守る上で役に立つと思えるのだが…。
※今回取り上げた記事「ネットと民主主義 深まる相克~トランプ氏、SNS規制へ大統領令」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200530&ng=DGKKZO59791040Z20C20A5EA2000
※記事の評価はD(問題あり)。村山恵一氏への評価もDを維持する。村山氏については以下の投稿も参照してほしい。
「日本の部長、データを学べ」に説得力欠く日経 村山恵一氏
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/03/blog-post_16.html
日経 村山恵一氏の限界見える「Deep Insight~注目 シェア人類の突破力」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/06/deep-insight_6.html
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