2019年11月2日土曜日

日経 五十嵐沙織記者が書いた「ETF 長期投資の活用法」への注文

2日の日本経済新聞朝刊マネー&インベストメント面に載った「ETF 長期投資の活用法~低コスト 少額で国際分散」という記事は悪い出来ではないが、気になる点もあった。
福岡市立福岡女子高校 ※写真と本文は無関係

まず以下のくだりだ。

【日経の記事】

都内に住む60代のSさんは日本株と金に投資するETFを保有している。「個別株も持っているが、常に業績や株価をウオッチする必要がある。その点、ETFは指数連動なので放ったらかしにできるのが魅力」と話す。



◎ほぼ変わらないような…

個別株」は「常に業績や株価をウオッチする必要がある」が「ETFは指数連動なので放ったらかしにできる」と「都内に住む60代のSさん」は考えているらしい。そんなに違うものかなとは思う。

投資に対するスタンス次第だが、「個別株」を「放ったらかし」にする手もある。「ETF」に関しても、最適な売り時を見極めようとするならば、企業業績など経済状況に目配りした上で、「指数」の動向も「ウオッチ」すべきだ。

個別株」だと「放ったらかし」にはできないが「ETF」ならば可能と取れるコメントを記事に盛り込むと、読者に誤解を与える恐れがある。

次に気になったのが以下の説明だ。

【日経の記事】

株価指数など指数に連動するよう運用するため、比較的低コストなのも特徴だ。ETFも投資信託と同様、保有している間は信託報酬などの保有コストがかかる。東京証券取引所によると、ETFの信託報酬は平均0.06~0.95%と、公募投信の0.1~1.65%より低い



◎「平均」にしては幅が…

ETFの信託報酬は平均0.06~0.95%と、公募投信の0.1~1.65%より低い」という説明が引っかかる。「平均」にしては幅が広すぎる。「東京証券取引所」がそう言っているのかもしれないが、なぜ幅があるのか謎だ。

ついでに言うと「ETFも投資信託と同様」と書くと「ETF」は「投資信託」ではないとの誤解を与えてしまう。「ETFは指数連動型の投資信託の一種」と記事でも書いているのだから、それを前提に丁寧な説明をしてほしい。

最後にもう1つ注文を付けたい。

【日経の記事】

また、ETFの積み立て購入ができる証券会社は少ないため、投信のように積み立てていきたいなら、手動で購入するしかない


◎本当に「手動で購入するしかない」?

上記の説明は矛盾している。「投信のように積み立てていきたい」場合、「ETFの積み立て購入ができる証券会社」に口座を作る手がある。「積み立て購入」に対応してくれる「証券会社は少ない」としても、ゼロではないのだから「手動で購入するしかない」とは言えない。

付け加えると、ここでも「ETF」は「投信」ではないと取れる書き方になっている。筆者の五十嵐沙織記者には、そうした細かい点まで配慮できる書き手に育ってほしい。


※今回取り上げた記事「ETF 長期投資の活用法~低コスト 少額で国際分散
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191102&ng=DGKKZO51686640R01C19A1PPD000


※記事の評価はC(平均的)。五十嵐沙織記者への評価も暫定でCとする。

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