2019年11月1日金曜日

短い記事ながら問題山積みの日経「日鉄など、鋼板に大型投資」

1日の日本経済新聞朝刊 企業1面に載った「日鉄など、鋼板に大型投資 EV向けの需要増に対応」という記事は酷い出来だった。この完成度で世に送り出せるのが悪い意味で凄い。短い記事の中に問題点がぎっりし詰まっている。
のこのしまアイランドパークのコスモス
       ※写真と本文は無関係です

記事の全文は以下の通り。

【日経の記事】

鉄鋼大手各社が電気自動車(EV)などに使う高機能鋼板で大型投資に踏み切る。日本製鉄は広畑製鉄所(兵庫県姫路市)に数百億円を投じて生産設備を増強するJFEスチールも国内で設備増強の検討に入った。環境規制の高まりでEVなどの高性能化に役立つ鋼板の需要が増えている。米中対立の長期化で収益が悪化する中、成長分野に投資を絞り込む。

両社が増産するのは「電磁鋼板」と呼ぶ製品。変圧器やモーターなどの中心部に使う磁性のある鋼板だ。

◇   ◇   ◇

問題点を列挙してみる。

◆問題その1~まとめ物になってる?

この記事はいわゆる「まとめ物」だ。「鉄鋼大手各社が電気自動車(EV)などに使う高機能鋼板で大型投資に踏み切る」と打ち出しているので「鉄鋼大手各社」に共通する動向を伝えているはずだ。

しかし出てくるのは「日本製鉄」と「JFEスチール」のみ。「鉄鋼大手」と言っても残りは神戸製鋼所ぐらいしかないのは分かるが、2社でまとめるのは苦しい。

しかも「JFEスチール」は「国内で設備増強の検討に入った」だけ。結局、「大型投資に踏み切る」と言えるのは「日本製鉄」しかない。これなら「日本製鉄」の1社物にした方がいい。


◆問題その2~いつ「大型投資に踏み切る」?

繰り返し指摘してきたように、日経の企業ニュース記事は「when」が抜けがちだ。今回の記事も「数百億円を投じて生産設備を増強する」のがいつになるのか触れていない。


◆問題その3~具体的な数字が…

まず「数百億円」が引っかかる。記事の肝とも言える数字なので、幅を持たせてもいいからもっと明確に書きたい。例えば「200億~500億円」といった見せ方はできなかったのか。

生産設備を増強する」と書いているのに、どの程度の「増強」なのか分からないのも辛い。いくら聞いても日鉄が教えてくれなかったのかもしれない。その場合、自分が記者だったら記事にするのは諦める。


◆問題その4~「大型投資」と言える?

日経の別の記事によると、日鉄の2018年度の設備投資は「約4400億円」。日鉄にとって「数百億円」規模の設備増強を「大型投資」と呼んでよいのか微妙だ。中身の薄い記事を盛り上げるために「大型投資」と書いたのだろう。「数百億円」規模の投資額だと「成長分野に投資を絞り込む」と言えるかどうかも怪しい。


◆問題その5~「両社が増産する」?

既に述べたように「JFEスチール」は「国内で設備増強の検討に入った」だけだ。「増産する」かどうかは決まっていない。なのに「両社が増産する」と言い切っていいのか。

今回の記事をそのまま紙面化したデスクが日経社内にいると考えると怖い。「いくらなんでもこのレベルで読者に届けるのはまずいだろう」と思ってほしいところだが…。



※今回取り上げた記事「日鉄など、鋼板に大型投資 EV向けの需要増に対応
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191101&ng=DGKKZO51634610R31C19A0TJ1000


※記事の評価はE(大いに問題あり)

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