2019年11月4日月曜日

福田恵介氏の説明に矛盾 東洋経済 「韓国は今、何を考えているのか」

週刊東洋経済の福田恵介氏(肩書は本誌コラムニスト)が11月9日号の第2特集「韓国は今、何を考えているのか」に書いた記事は、辻褄の合わない記述が目立った。以下の内容で問い合わせを送っている。
のこのしまアイランドパーク(福岡市)
       ※写真と本文は無関係です


【東洋経済新報社への問い合わせ】

週刊東洋経済編集長 山田俊浩様  福田恵介様

11月9日号の第2特集「韓国は今、何を考えているのか」の中で福田様が書かれた最初の記事についてお尋ねします。記事には以下の記述があります。

<記事の引用>

韓国側は一度だけ、解決策を提示してきた。元徴用工に支援・補償を行う財団の設立案だ。前例がある。15年の慰安婦問題・日韓合意に基づき、日本政府が10億円を拠出して財団を設立し、慰安婦への支援事業を始めた。ところが朴槿恵(パククネ)政権時代の合意に対し、文大統領は「慰安婦合意は不適切だった」と反発。結局、19年7月に財団は解散された。これを思えば、韓国の提案が日本に受け入れられないのは自明なことだ。

それでも左派・革新政権である文政権は、どんな対日政策を打ち出しても支持層から「日本に媚びている」といった反発を受けがちだ。だからこそ、現政権は日韓問題の先送りを図って時間稼ぎをしているのだ、と日本側は思ってきた。しかしここでようやく、日本政府やメディアは気づいた。文大統領と大統領府は、実は日本についてまったく関心がなく、政策もないのではないか──。

--引用は以上です。

調べてみると「財団の設立案」を「提示してきた」のは今年6月のようです。「ここでようやく、日本政府やメディアは気づいた」のですから「文大統領と大統領府は、実は日本についてまったく関心がなく、政策もないのではないか」と「日本政府やメディア」が「気づいた」のは今年6月のはずです。

しかし、記事は以下のように続きます。

<記事の引用>

そんな懸念を確信に変えたのは、19年1月10日、韓国大統領府で恒例の、大統領による年頭記者会見だった。内外メディアが一堂に会し、毎年日本人記者が質問している。それなのに、日本人記者はなかなか当てられない。ようやく指名され、悪化する日韓関係について質問した記者に対し文大統領は「実は、あなたの後ろの方を指名するつもりだった」と言い放ったのだ。結局、この会見で文大統領が日韓関係に言及したのは、「徴用工問題は判決を尊重すべき」との発言のみ。慰安婦問題や韓国の艦艇が海上自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射したとされた当時の問題にも触れなかった。

--引用は以上です。

文大統領と大統領府は、実は日本についてまったく関心がなく、政策もないのではないか」との「懸念」を抱いたのは今年6月のはずなのに、それを「確信に変えた」のは今年「1月」だと福田様は説明しています。過去に戻って「懸念を確信に変えた」ことになるので辻褄が合いません。記事の説明は成立しないのではありませんか。問題なしとの判断であれば、どう解釈すればよいのか教えてください。

付け加えると「大統領による年頭記者会見」のやり取りで「日本についてまったく関心がなく、政策もない」と「確信」した理由が謎です。「文大統領」が「日本人記者」をあえて「指名」しない選択をしたのならば、「関心」があると判断する方が自然です。誰かを徹底的に無視する場合、無視を決めた人は相手への「関心」がないと言い切れますか。

記事では「朴槿恵(パククネ)政権時代の合意に対し、文大統領は『慰安婦合意は不適切だった』と反発。結局、19年7月に財団は解散された」とも説明しています。「関心がなく、政策もない」のならば「財団」はなぜ「解散された」のでしょうか。

記事の続きにも問題なしとしません。「『日本に関心がない』という声は、今では日本だけで聞かれるのではない。韓国人もそう思い始めたのだ。その際に語られるのが、『386世代』と『学生運動』という2つのキーワードだ」と福田様は述べています。しかし、その後の説明とまたしても整合しません。

学生運動組織で中心的な役割を果たした386世代が現大統領府には多い。386世代の特徴は、思考が左派・革新的で社会民主的な志向を持つ。また北朝鮮に好意的で、民族主義的な考えを持つ人物が多く、大国への反発心が強く、それゆえ反米・反日的だ」と福田様は解説しています。

キーワードに挙げた「386世代」は「反日的」なので「日本に関心が」あるはずです。その世代が「現大統領府には多い」となると「文大統領と大統領府は、実は日本についてまったく関心がなく、政策もないのではないか」との見方はあまり説得力を持ちません。「大統領府」については「反日」という形で「日本に関心」を持っている可能性が高そうです。なのになぜ「『日本に関心がない』という声は、今では日本だけで聞かれるのではない。韓国人もそう思い始めたのだ」と認識してしまったのですか。

記事の終盤には「文大統領がようやく対日政策に取り組もうとしたのは、安倍政権が『輸出管理措置』における優遇対象のホワイト国(グループA)から韓国を外し、半導体の主要材料となる3品目の輸出申請審査を強化すると発表した今年7月からだ」との記述もあります。

『日本に関心がない』という声は、今では日本だけで聞かれるのではない。韓国人もそう思い始めたのだ」と書いているのですから、今年1月に「確信」となった「日本に関心がない」という見方は「」でも変わっていないはずです。

なのに「文大統領」が「今年7月から」は「対日政策に取り組もうと」しているようです。それなのに「文大統領と大統領府は、実は日本についてまったく関心がなく、政策もない」と「日本政府やメディア」は「確信」したままなのですか。

日本政府やメディア」は誰もまともな状況認識ができていないとの前提で考えれば、あり得ない話ではありません。ただ、今回の記事の説明に問題があると考える方が自然でしょう。

問い合わせは以上です。御誌では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇

福田氏には3月にも問い合わせを送っているが、8カ月が経過しても回答はない。参考までに問い合わせの内容を紹介したい。

【東洋経済新報社への問い合わせ】

週刊東洋経済編集部 福田恵介

3月16日号の「深層リポート~歴史的合意を阻んだ米朝の相反する『計算法』という記事についてお尋ねします。記事中に「外交では、失敗しない首脳会談はないというのが定説だとの記述があります。これが正しければ「ほとんどの首脳会談は失敗に終わる」とも言えます。しかし一般的な常識とは逆です。

実務者協議などで合意を積み重ねて首脳会談の前にはほぼ話が付いているのが通例なので「外交では、成功しない首脳会談はないというのが定説になっているのではありませんか。「外交では、失敗しない首脳会談はないというのが定説だとの説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

御誌では読者の間違い指摘を無視する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。

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※今回取り上げた記事「韓国は今、何を考えているのか
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/22035


※記事の評価はD(問題あり)。福田恵介氏への評価はDで確定とする。

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