2019年11月26日火曜日

東洋経済 長瀧菜摘記者とダイヤモンド大矢博之記者 しっかり書けているのは…

週刊東洋経済の長瀧菜摘記者と週刊ダイヤモンドの大矢博之記者。記事の書き手としての技術が上なのはどちらかと聞かれたら、大矢記者だと答える。ヤフー・LINEの経営統合に関する記事をそれぞれの11月30日号に書いたのが、この2人だ。
のこのしまアイランドパークのコスモス
        ※写真と本文は無関係です

まずは長瀧記者が書いた「深層リポート01~ヤフー・LINEが統合 国内ガリバー飛躍の条件」という記事の一部を見ていく。

【東洋経済の記事】

11月18日、ヤフーを傘下に持つZホールディングス(HD)とLINEは経営統合を発表。来年10月をメドにLINEはZHDの傘下に入る。現在のZHDとLINEの親会社であるソフトバンク、韓国NAVERとともに、さまざまな分野での協業を進める。



◎誤解を招く書き方

ヤフーを傘下に持つZホールディングス(HD)とLINE」と書くと「Zホールディングス(HD)とLINE」の「傘下」に「ヤフー」がいるとも取れる。もちろん「LINE」は「ヤフーを傘下」に持っていない。

さらに問題なのが「現在のZHDとLINEの親会社であるソフトバンク、韓国NAVER」というくだりだ。「ZHD」の「親会社」が「ソフトバンク」で「INE」の「親会社」が「韓国NAVER」なのだが、そのことを知らずに読んだ場合、解読にかなり迷うはずだ。

自分ならば「現在の『ZHDとLINE』の親会社であるソフトバンク」&「韓国NAVER」と理解してしまう気がする。「LINEの親会社であるソフトバンク」と明確に書いているので、「LINEの親会社」が「韓国NAVER」である可能性は考慮しないだろう。

では週刊ダイヤモンドの大矢記者はどう書いているのか。「Close Up~『対等の精神』強調もサービス整理は必至 ヤフー、LINE経営統合」という記事では以下のようになっている。

【ダイヤモンドの記事】

ソフトバンクグループでZHD傘下のヤフーと、メッセージアプリ大手のLINEが経営統合することで基本合意した。ZHDの親会社のソフトバンクと、LINEの親会社である韓国ネイバーが50%ずつ出資して合弁会社を設立。傘下にZHDを置き、ヤフーとLINEを子会社にする。2020年10月の統合完了を目指す。



◎こちらは問題なし

何の問題もない。「ソフトバンクグループでZHD傘下のヤフーと、メッセージアプリ大手のLINE」のくだりで「ヤフーと、」と読点を打っている辺りに「誤解を与えない書き方をしなくては」という配慮も見える。長瀧記者との差は明らかだ(記事をチェックした人間の差かもしれないが…)。

長瀧記者にはぜひライバル誌の記事と自分の書いた記事を読み比べてほしい。そして「どちらが読みやすいか。どちらが誤解を招きにくいか」を考えてみることだ。「文章を扱うプロ」と呼べるレベルの書き手を目指すのならば、そこは避けて通れない。


※今回取り上げた記事

深層リポート01~ヤフー・LINEが統合 国内ガリバー飛躍の条件
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/22216

Close Up~『対等の精神』強調もサービス整理は必至 ヤフー、LINE経営統合
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/28125



※東洋経済の記事の評価はD(問題あり)。ダイヤモンドの記事の評価はC(平均的)。長瀧菜摘記者への評価は暫定Cから暫定Dへ引き下げる。大矢博之記者への評価はCを据え置く。

0 件のコメント:

コメントを投稿