2018年11月12日月曜日

週刊ダイヤモンド「行動遺伝学」特集に見える矛盾

週刊ダイヤモンド11月17日号の特集2「努力で決まるか 生まれながらなのか?~行動遺伝学が教える 学力、性格と『遺伝』のホント」は基本的にはよく書けている。タブー視されがちな問題を取り上げた姿勢も評価できる。ただ、理解に苦しむ部分もあった。筆者の小栗正嗣編集委員には以下の内容で問い合わせを送っている。
山地獄(大分県別府市)※写真と本文は無関係

【ダイヤモンドへの問い合わせ】

週刊ダイヤモンド編集部 小栗正嗣様

11月17日号の特集2「努力で決まるか 生まれながらなのか?~行動遺伝学が教える 学力、性格と『遺伝』のホント」を興味深く読みました。ただ、矛盾を感じる部分もありました。

まず記事では「行動遺伝学」について「いかなる行動の個人差も、遺伝だけからでも環境だけからでもなく、遺伝と環境の両方の影響によってつくられているという、ごく当たり前の前提に立つ」と説明しています。

しかし「日本の行動遺伝学の第一人者、安藤寿康・慶應義塾大学文学部教授」が取りまとめたという119ページのグラフを見ると「遺伝の影響」がゼロの項目がかなりあります。

家出(15歳未満)」「人に対する虐待(15歳未満)」「器物損壊(15歳未満)」「窃盗(15歳未満)」「結婚(60歳時)」では「共有環境の影響」と「非共有環境の影響」はあっても「遺伝の影響」はゼロです。だとすると「いかなる行動の個人差も、遺伝だけからでも環境だけからでもなく、遺伝と環境の両方の影響によってつくられている」という「前提」が崩れます。

記事の説明かグラフのデータのいずれかが間違っているのではありませんか。どちらにも問題ないとの判断であれば、上記の矛盾についてどう理解すればよいのか教えてください。

御誌では、読者からの問い合わせを無視する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇

追記)結局、回答はなかった。

※今回取り上げた特集「努力で決まるか 生まれながらなのか?~行動遺伝学が教える 学力、性格と『遺伝』のホント
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/25046


※特集の評価はB(優れている)。小栗正嗣編集委員への評価は暫定C(平均的)から暫定Bに引き上げる。

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