2017年12月21日木曜日

FACTAの品性疑うユーストリーム元社長「年収暴露」記事

FACTA1月号に載った「インサイド~社内メールで『年収暴露』悲惨なユーストリーム元社長」という記事は、のぞき見趣味的な要素が強く、メディアとしての品性を疑いたくなる中身だった。短い記事なので全文を見てみよう。
原鶴温泉(福岡県朝倉市)※写真と本文は無関係です

【FACTAの記事】

「本年度の年収は2千万円を超えない予定ですが、確定申告の必要があります……」

11月6日、ソフトバンクの全社員に向け、1通の電子メールが送られた。送り主はソフトバンクの人事・労務業務を請け負うグループ会社「SBアットワーク」の社員。ある幹部社員からの問い合わせメールに返信する際、設定を誤って全社員に一斉メールを送信したようだ。

図らずも2千万円未満という年収を晒されてしまった「ある幹部社員」とは、中川具隆(ともたか)氏(61)。2年前までライブ動画配信サービス「Ustream(ユーストリーム)」を手がけたソフトバンク子会社、ユーストリーム・アジアの元社長だ。ユーストリームは「ももいろクローバーZ」など人気アーティストのライブ配信に力を入れ、最盛期には月1700万ページビューを達成。だが、スマホ対応が遅れたことからジリジリと利用者が減り、ソフトバンクが15年12月に米国本社へのサービス返上を決め、その後米IBMに買収された。

最盛期には数千万円級の年収を手にしていたであろう中川氏。わずか数年で1千万円台にまで実入りが減っただけでなく、その事実が全社員の知るところになったのはいささか気の毒ではあるが、社内の情報通は「意図的な誤爆メールだったのでは」と深読みする。

その背景には、ソフトバンクが17年8月に新設した「シニア転進補助制度」が関係している。50~55歳で退職すると1千万円、56~59歳には500万円を「転職や起業などの挑戦を支援する目的」として支給するいわば早期退職奨励制度のこと。ソフトバンクには退職金制度がなく、こぞって応募すると期待されたが、それほどでもなかった模様。そこで、「中川さんの今の状況を知らしめることでシニア層に制度利用を促す狙いがあったのではないか」(社内情報通)というわけだ。メールには「医療費控除(10万円以上)が発生」とも書かれており、健康状態まで「ストリーム配信」されてしまった中川氏は悲惨という外ない。

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国道210号線沿いのコスモス(福岡県うきは市)
         ※写真と本文は無関係です
中川氏の年収が「2千万円未満」という情報に大きな意味はない。誤送信で「年収を晒されてしまった」のであれば、それを面白がって記事にするのは趣味が悪い。「『医療費控除(10万円以上)が発生』とも書かれており、健康状態まで『ストリーム配信』されてしまった」などと、報じる価値のない個人情報を記事にする姿勢にも賛同できない。

そもそも「2千万円未満」の年収は61歳という年齢を考えれば悪くない。2000万円を若干下回る水準だと仮定すれば、かなり高いと言える。記事では中川氏を「幹部社員」と表現しているだけで、現在の役職には触れていない。仮に部長クラスだとしても2000万円弱ならば十分だ。

記事では、年収を晒すだけでは苦しいと感じて「シニア転進補助制度」と絡めてみたのだろう。だが、「中川さんの今の状況を知らしめ」たとしても、社員に「制度利用を促す」効果はないだろう。「子会社の社長を務めた人でも、社長退任後は61歳で年収2000万円を切る」と知ったからと言って、「50~55歳で退職すると1千万円、56~59歳には500万円」を得て会社を去ろうと考えるだろうか。書いた本人も分かっているとは思うが、無理筋だ。


※今回取り上げた記事「インサイド~社内メールで「年収暴露」悲惨なユーストリーム元社長
https://facta.co.jp/article/201801032.html

※記事の評価はD(問題あり)。

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