2017年8月9日水曜日

地方国立大出身の官僚は「極めて異例」と週刊エコノミストは言うが…

地方国立大出身者は、官僚では極めて異例」と言えるだろうか。「地方国立大」をどう捉えるかにもよるが、旧帝大を除いて考えても「極めて異例」とは考えにくい。しかし、週刊エコノミスト8月15・22日合併号の「関西検察立て直したエース 地方大出身の星となるか」という記事では「極めて異例」と言い切っている。そこで同誌編集部に問い合わせを送ってみた。内容は以下の通り。
豪雨で被害を受けたJR日田彦山線(大分県日田市)
         ※写真と本文は無関係です

【エコノミストへの問い合わせ】

週刊エコノミスト編集部 担当者様

御誌を定期購読している鹿毛と申します。8月15・22日合併号の「関西検察立て直したエース 地方大出身の星となるか」という記事についてお尋ねします。

記事では最高検監察指導部長の北川健太郎検事を取り上げ「北川氏は金沢大卒業。地方国立大出身者は、官僚では極めて異例だ」と説明しています。本当にそうでしょうか。「官僚=キャリア官僚」と捉えた場合でも、地方国立大出身者は珍しくないと思えます。まず「地方国立大=首都圏以外の国立大」と定義した場合、京都大学や大阪大学が入ってくるので「極めて異例」でないのは自明です。「地方国立大=三大都市圏以外の国立大」としても、北海道大、東北大、九州大の出身者が数多くいるので「極めて異例」とは言えません。

定義としては無理がありますが「地方国立大=三大都市圏以外の国立大で旧帝大を除く」とした場合どうでしょうか。国家公務員総合職の2017年度採用試験の合格者を見ると、岡山大34人、広島大24人と20位以内に2校が入っています。官僚の中では少数派かもしれませんが「極めて異例」と言うほどではありません。「地方国立大出身者は、官僚では極めて異例だ」との説明は誤りと判断してよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠も併せて教えてください。

ついでに言うと57歳で最高検監察指導部長となった北川氏を「検察だけでなく、地方国立大の『星』としても期待が高まる」と紹介しているのにも違和感があります。地方国立大出身者で官僚組織のトップに近いところまで出世したのは北川氏が初めてならば分かります。しかし、高知大出身の村木厚子氏は厚生労働省の事務次官を務めました。地方国立大の出身者でも官僚組織のトップに立てることは既に実証されています。

以上です。お忙しいところ恐縮ですが、回答をお願いします。

8月15・22日合併号の「From Editors」で金山隆一編集長は「取材でなくとも時にお世辞やウソを言い、相手をやり込めようとしたり、私はどこで狂ってしまったのか」と反省の弁を述べておられます。御誌で読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しているのも、メディアとしての重要な部分が「狂ってしまった」結果でしょう。そこを修正した上で、日本を代表する経済メディアとして責任ある対応をしてください。期待しています。

◇   ◇   ◇

週刊エコノミスト編集部からの回答はないだろう。

※記事の評価はD(問題あり)。

追記)結局、回答はなかった。

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