2017年8月5日土曜日

二重に誤解を招く日経「ヤマト運輸の荷物数 伸び率最小」

5日の日本経済新聞朝刊企業1面に載った「ヤマト運輸、荷物数3.2%増 7月、伸び率は最小」という記事は「伸び率」に関して二重に誤解を招く恐れがある。まず「7月、伸び率は最小」という見出しだ。これを目にした読者はどう理解するだろう。「最小」が「7月としては」なのか「全ての月で」なのかは微妙ではある。だが、「ヤマトが荷物数の公表を始めてから最小の伸び率になった」とは思うはずだ。ところがそうではない。
宝満川(福岡県久留米市・佐賀県鳥栖市)
      ※写真と本文は無関係です

記事の全文は以下の通り。

【日経の記事】

宅配最大手のヤマト運輸は4日、7月に取り扱った宅配便の荷物数が前年同月比3.2%増の1億8570万個だったと発表した。従業員の働き方改革で荷物の引き受けを減らす方針を打ち出しているが、インターネット通販の荷物の増加が続いている。ただ、当日配送を縮小した効果などがあり、伸び率は4月以降で最も小さくなった

ヤマトは2017年度の1年間に取り扱う荷物数を16年度比8200万個減らす計画を立てていたが、4月以降も増加が続いているため、同3600万個減に修正した。荷物が本格的に減り始めるのは、大口顧客との交渉が妥結する10月以降になる見通しだ。


◎色々と誤解が…

最初に見出しを見た時は「3.2%増で伸び率が最小ってすごいな。伸び率がマイナスになったことがないだけでも凄いのに、3%さえ下回らずに来たのか」と感じた。そこで本文も読んでみると「伸び率は4月以降で最も小さくなった」と書いてある。今年4月から7月までの4カ月で「最小」というわけだ。これで見出しに「7月、伸び率は最小」と持ってこられても困る。

伸び率は4月以降で最も小さくなった」ということは今年3月以来の低水準なのかと思って調べてみると、それも違っていた。ヤマトの発表資料によると「3.2%増」は2015年5月(0.9%増)以来の低い伸びだったようだ。

だとしたら、「伸び率、2年2カ月ぶり低水準」には触れてほしかった。荷物数を減らす計画の17年度に入ってからも「増加が続いている」ので「4月以降」で見たのだとは思う。その情報を入れるなとは言わないが、「2年2カ月ぶり低水準」の方が重要だ。

その情報が記事に入っていれば整理部の担当者も「7月、伸び率は最小」と見出しを付けずにも済んだし、読者に誤解を与えるリスクも大きく軽減できたのだが…。


※今回取り上げた記事「ヤマト運輸、荷物数3.2%増 7月、伸び率は最小
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170805&ng=DGKKASDZ04I2U_U7A800C1TJ1000

※記事の評価はD(問題あり)。

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