2017年8月30日水曜日

週刊ダイヤモンド松本裕樹記者の三井物産特集に疑問あり

週刊ダイヤモンド9月2日号の特集「“三位物産”返上なるか 三井物産 安永改革の前途」は全体の出来としては平均的だ。ただ、「安永竜夫(三井物産社長)インタビュー~数字重視の攻めの組織へ 非資源強化は結果で示す」というインタビュー記事の中に引っかかる発言があった。安永社長が分かっていないのか、筆者である松本裕樹記者の書き方に問題があるのか--。以下のくだりを読んで、「毎週火曜朝に行っていた経営会議を月曜朝に変更したこと」が「攻めるための時間をつくる」かどうか考えてみたい。
豪雨被害を受けた福岡県朝倉市 
       ※写真と本文は無関係です


【ダイヤモンドの記事】

──二つ目の「攻め」の強化についての取り組みは。

最も重視したのは攻めるための時間をつくること。そのために社内の無駄な報告や会議をどんどん減らしてきました。

例えば、従来、投資案件などの意思決定は、部長レベルの個別案件審議会から取締役会まで4段階あった。これを、会議の在り方を見直して3段階に減らしました。

また、毎週火曜朝に行っていた経営会議を月曜朝に変更したことで、社員が休日返上で月曜までに会議資料を作成することがなくなるとともに、役員も月曜午後からは外に出られるようになりました


◎「攻めるための時間」は増えないような…

投資案件などの意思決定」の簡素化は分かる。だが、「経営会議」の曜日変更は「攻めるための時間」を増やすとは思えない。例えば、経営会議のために10人の社員が毎週1人当たり10時間をかけているとしよう。会議が月曜であろうと火曜であろうと、これらの社員が経営会議のためにかける時間は変わらないはずだ。であれば「攻めるための時間」を増やす効果は期待できない。

月曜朝に変更」すると「社員が休日返上で月曜までに会議資料を作成することがなくなる」というのも素直には受け入れがたいが、仮にそうだとすると「攻めるための時間」は逆に減るのではないか。

社員は従来、平日に5時間、休日に5時間かけて「会議資料を作成」していたとする。経営会議が月曜になって平日10時間、休日0時間に変わると、平日の「攻めるための時間」は当然に減りやすくなる。休日出勤もなくなる前提であれば全体としての「攻めるための時間」も少なくなりそうだ。平日の残業で対応する手はあるが、「攻めるための時間」が増えそうな感じはない。

休日出勤が減るのは歓迎すべきだ。ただ、「経営会議を火曜から月曜に移すと社員にとって『攻めるための時間』が増える」と安永社長が本気で信じているのならば怖い。

筆者の松本記者が安永社長の発言を正確に伝えられていない可能性も残る。本当に安永社長が記事の通りの発言をしたのならば、松本記者には「『攻めるための時間』が増えると本気で思っているのですか?」とは聞いてほしかった。


※今回取り上げた特集「“三位物産”返上なるか 三井物産 安永改革の前途
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/21089

※特集の評価はC(平均的)。松本裕樹記者への評価は暫定D(問題あり)から暫定Cへ引き上げる。

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