佐田川と菜の花(福岡県朝倉市) ※写真と本文は無関係です |
トランプ氏はインタビューで、駐留経費の分担について「なぜ100%でないのか」と指摘。質問者が「米軍受け入れ国に、全ての費用を払わせたいのか」とただすと「全額支払うべきだ」と主張した。さらに「経済大国になった日本に補助金を払い続けるようなことはできない」と訴えた。
-------------------
上記は最終版(4版)のものだが、3版では「日本などによる駐留経費の分担について『なぜ100%でないのか』と指摘」となっていて、「100%」発言が「日本など」と対応する形になっていた。実際には「100%」発言は在韓米軍に関する質問に絡んで出てきたものだ。3版の説明ではまずいと思って最終版で手直ししたのだろう。ただ、日経の記事からは「なぜ100%でないのか」という発言が在韓米軍に関するものだとは知る由がない。
手直しする際に「駐留経費の分担について」の部分を「在韓米軍の駐留経費分担について」とすれば済む話だ。その後で日本も含む米軍受入国に関して「全額支払うべきだ」と述べているのだから、記事の骨子に影響はない。吉野記者がなぜ正確に伝えようとしないのか疑問だ。
ちなみに、毎日新聞は6日の「トランプ氏『米軍駐留費、全額負担を』…共和指名確定」という記事で以下のように説明している。
【毎日の記事】
トランプ氏はこれまでも、駐留米軍を撤退させる可能性に触れながら、同盟国に負担増を求める考えを示してきたが、今回は「全額負担」を要求する姿勢を明確にした。米国に財政的な余裕がないことを強調し、米国が防衛しているドイツや日本、韓国は「米国を大切にしなくてはならない」と主張した。インタビューの聞き手が「韓国は在韓米軍の人件費の50%を払っている」と指摘すると、「50? なぜ100%ではないのか」と反論。「駐留米軍の受け入れ国にそのすべての経費を支払わせたいのか」と聞かれると、「もちろん彼らがすべての経費を支払うべきだ。なぜ米国が払うんだ」と強調した。
----------------------------------------
日経と毎日のどちらが読者により正確な情報を伝えようとしてくれているだろうか。自分はたまたまCNNの映像を見た後に日経を読んだので「吉野記者の記事は正確さに欠ける」と気付けた。しかし、日経だけ読んでいたら、微妙に誤解したままになっていたはずだ。
吉野記者は「日本にも100%の負担をトランプ氏は求めている。だから、誤解には当たらない」と反論するかもしれない。しかし、やはり問題ありと考えるべきだ。夕刊の記事を参考に書いたとみられる日経朝刊総合1面の「トランプ氏 日本に波紋 『軍駐留費、全負担を』『TPPは再交渉』」という記事(7日付、筆者は日本国内にいる記者だと思われる)では、以下のように述べている。
【日経の記事(朝刊)】
「なぜ100%ではないのか」。トランプ氏は4日の米CNNのインタビューで、在日米軍の駐留経費について日本に全額負担を求める考えを表明した。
----------------------------------------
この書き方だと、日経だけを読んだほとんどの人が「在日米軍の駐留経費についてトランプ氏は『なぜ100%ではないのか』と発言した」と思うだろう。吉野記者の書き方が曖昧だから、それに基づいて書かれたと思われる記事では、誤解が少し大きくなっているように見える。もちろん決定的な問題はないが、吉野記者が毎日新聞と同じレベルの正確さで記事を書けていたら、こうした事態は防げたはずだ。
※日経夕刊の記事に対する評価はD(問題あり)。吉野直也記者への評価も暫定でDとする。
このコメントは投稿者によって削除されました。
返信削除通りすがりのものです。吉野直也氏の年末の「米政府、稲田氏の靖国参拝を暗に批判」という署名記事の裏取りをしてみたところ、2つの点で、与太だったことが分かりました。①記事には「29日の取材」とあるが、おそらく、27日(※稲田氏の参拝の前)のプレスブリーフィングに出席しただけ、ということ、②報道官は「an historical accounting of past events」としか言っていないのに、「癒やしと和解」などと訳していること。
返信削除