大分川と由布岳(大分県由布市)※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
定額積み立ては安値の局面で自動的に多くの株数を買えるため、投資継続の精神的な支えにもなる。一括購入とどちらが有利かは値動き次第だが、資産が乱高下しながら長期で上向いていく場合は報われやすい。
例えば海外先進国株(値動きはグラフC参照)に連動する投信にリーマン・ショック直前の08年8月末から毎月積み立てをしていた場合、今年1月21日時点の資産は総投資額に比べ7割弱増えている。下落時に安値で買っていたため平均コストが低くなっている。
ただし積み立ては投資期間の終盤に価格が上向いていないと利益が出にくい。例えば米利上げに伴う資金流出などでリーマン・ショック前の水準まで下がったのが新興国株。同様に積み立てていた場合、現在は利益がほぼ消えている。高齢になるにつれ、価格変動の大きな資産への集中投資は積み立てでも避けたい。
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ドルコスト平均法を勧めてはいるものの「一括購入とどちらが有利かは値動き次第だが、資産が乱高下しながら長期で上向いていく場合は報われやすい」とバランスの取れた書き方をしている。
リバランスに関する記述にも改善が見られた。以前に田村編集委員が書いた記事では色々とツッコミを入れたが、今回の記事は抑えが効いている。
※「リバランスは年1回? 日経 田村正之編集委員に問う」参照。
【日経の記事】
高くなった資産を売ったり安くなった資産を買い増したりして元の配分比率に戻すのが「リバランス」。値動きのブレの大きさを当初の想定に戻すのが主な狙いだが、収益率も長期では改善しやすい。割高になった資産を一部利益確定し、割安になった資産を買うことにつながるからだ。
著名投信ブロガーで資産運用の著書もある40代の会社員、水瀬ケンイチ(ハンドルネーム)さんは年に1度、正月明けにリバランスを実施している。「税負担を避けるために売りを出さず、ボーナスなどで比率が下がった資産を買い増して配分を戻している」
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以前の記事のように「個人投資家は例えば年に1度、誕生日や正月などに資産を見直すといった方法がよさそうだ」と一般化して書かずに、個人投資家である水瀬ケンイチ氏のやり方として「正月明けにリバランスを実施している」例を紹介しているのは好ましい。水瀬氏は著書で「実際は、目標アセットアロケーションからそんなに大きく乖離していなかったため、リバランスしなかった年もけっこうあります」とも述べている。そこまで紹介できればもっと好ましいのだが、それでも解説記事として十分にバランスは取れている。
ついでなので、記事の書き方で初歩的な助言をしておこう。「ボーナスなどで比率が下がった資産を買い増して配分を戻している」と書くと「ボーナスの影響で比率が下がった」とも解釈できる。これは「比率が下がった資産をボーナスなどで買い増して配分を戻している」と直せば問題は解決する。
さらについでに言うと、田村編集委員の記事には今回に限らずやたらと「イボットソン」が出てくるのが気になる。今回の記事で言えば以下のくだりだ。
【日経の記事】
とはいえグラフCでリーマン・ショック(2008年9月)以降の各資産の値動きを見ると変動の大きさがわかる。急落時に予想外の損失を出さないために重要なのが、「資産の最大損失額をイメージし、大きすぎる場合は投資額や配分を修正すること」(金融助言会社イボットソン・アソシエイツ・ジャパンの小松原宰明・最高投資責任者)。
【日経の記事】
優遇税制では値上がりが大きい資産ほど恩恵を受けやすい。イボットソンが1970~2013年を対象にした試算では、異なる年を起点に100万円を海外株に5年間ずつ投資した場合、通常の2割課税に比べ、非課税なら手取りが平均11万円多かった。海外債券は値上がりが小さく、非課税効果は5万円だった。
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使うなとは言わないが、使いすぎるとイボットソンの言いなりのような印象を持たれてしまう。しばらくはイボットソンに頼らないでマネー&インベスト面の記事を書いてみてはどうだろう。
※記事の評価はB(優れている)。田村正之編集委員の評価はD(問題あり)からC(平均的)に引き上げる。
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