巨瀬川と耳納連山(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です |
◆田中博編集長への新年の挨拶◆
週刊ダイヤモンド編集長 田中博様
明けましておめでとうございます。
元日に1月9日号を拝読させていただきました。まず気になったのが「訂正とお詫び」です。12月26日・1月2日合併号34ページの「日本の株価は3倍」を「日本の株価は2倍ほどに」へ訂正すると出ていました。この件で私は以前に問い合わせを送り「記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠を教えてください」とお願いをしましたが、何の回答も頂いていません。
振り返れば、御誌が私からの問い合わせを無視するようになったのは、昨年6月に私が訂正記事の訂正を求めてからです。櫻井よしこ氏が「オピニオン縦横無尽」というコラムでスイスの徴兵制に関して誤った説明をし、それに関する訂正記事の内容も間違っていたのです。しかし、再訂正は結局ありませんでした。そこから完全無視が始まったのです。
編集長である田中様の気持ちも分からないではありません。「訂正記事が誤っていたのに、再訂正をせずに無視した」というのは、メディアとしての倫理観の欠如を証明する行為です。その事実を知る読者は、できれば無視したい存在でしょう。しかし、明らかな誤りを全て握りつぶすのも問題が多すぎます。そこで「問い合わせには回答しないが、案件によっては訂正を出す」との答えに辿り着いたのでしょう。
間違いがあったのならば、訂正は出さないより出した方がいい--。それは確かです。なので、今回の訂正記事の掲載に一定の評価はできます。しかし、読者からの間違い指摘に何の回答もしないのは、やはり許されません。指摘が的を射ていたのならば、なおさらです。常識的に考えれば、指摘に感謝した上で記事中に間違いがあった点を詫びるべきでしょう。
そんなことは、私に言われなくても田中様も十分に分かっているはずです。なのに、なぜできないのでしょうか。原因はプライドでしょう。訂正記事を訂正しない対応を私に厳しく批判された過去があるから、私に対して記事中の誤りを認めるような回答はしたくない--。それも理解できます。
記事を作る上で、プライドは基本的に邪魔だと私は考えています。レベルの高い記事を世に送り出せている場合でも「自分たちなんてまだまだ未熟」「何か問題がありそうで心配」などと思っているくらいで丁度いいのです。しかし、経験を積むに従い、どうしてもプライドが積み上がっていきがちです。そして、プライドを守る気持ちが強すぎて、当たり前のことが当たり前にできなくなってしまいます。
1月9日号の「From Editors」で田中様は「皆さま、16年も本誌をよろしくお願いします」と書いています。本当にそう思う気持ちがあるのならば「間違い指摘をしてくれた読者に何の回答もしない」といったメディアとしての品性が疑われるような対応は止めませんか。そうした行為は田中様だけでなく週刊ダイヤモンド全体の名誉を傷付けてしまいます。
私は時に厳しい批判もしますが、罵詈雑言を浴びせるような真似は決してしません。批判をするのは、週刊ダイヤモンドをより良い雑誌へと育てていきたいからです。その気持ちは、私の問い合わせの行間にも染み出ているはずです。
少しだけプライドを捨てて「メディアとして望ましい対応とは何か」をもう一度考えてみませんか。それが、私から田中様への新年のお願いです。
今年もよろしくお願いします。
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※2016年は週刊ダイヤモンドが正しい道を歩んでくれるよう期待したい。
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