【日経の記事】
石橋文化センター(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です |
中国経済の減速を震源とした市場の混乱が収まらない。18日の東京株式市場で日経平均株価は3カ月半ぶりに1万7千円を割り込んだ。原油価格も低迷し、米国市場で一時12年ぶりの安値となる1バレル28ドル台をつけた。世界経済に逆風が吹きつけ、足踏みを続ける日本経済は耐久力が試される。
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今回の記事を読むと「原油安は世界経済にとってマイナス」と解釈したくなる。上記の最終版(14版)では微妙な書き方になっているが、12版では「原油安や地政学リスクといった逆風が世界経済に吹きつけ~」と言い切っていた。
原油安は世界経済全体で見ればプラスに働くというのが従来の常識だ。IMFや世界銀行も「原油安が世界経済の成長率を押し上げる」との試算を出している。その状況が変わってきたのだとしたら、「従来の常識が覆り、原油安が世界経済の成長率を押し下げる要因になっている」と言明してほしかった。そうではなく、マイナス面に目を奪われて全体としてどう影響するのかを考えていないとすれば、分析としては不十分だ。
日本経済にとっても原油安は全体としてプラスに作用しそうだが、「マネー・資源 揺さぶる」という関連記事にはそうは書いていない。
【日経の記事】
「古い中国」を震源とする原油安は一時1バレル28ドル台をつける水準まで進んだ。中国経済の減速と市場の動揺が共振し続ければ、足踏みを続ける日本経済も下押しされる。
日本経済新聞社の総合経済データバンク「NEEDS」の試算では、中国の成長率が6%に減速し、円相場が1ドル=115円、原油価格が1バレル30ドルになると、16年度で1.7%を見込む実質成長率は1%にとどまる。
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これも「原油安が続けば日本の成長率も落ち込む」と解釈するのが自然だ。しかし、世界経済はともかく日本経済にとって原油安がマイナスとは考えづらい。原油高が日本経済にとってプラスになるのならば、非常に興味深い変化だ。そこはしっかり分析してほしかった。
※記事の評価はC(平均的)。暫定でCとしていた大越匡洋記者への評価はCで確定とする。
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