3日付の東洋経済オンラインにナビタスクリニック内科医師の久住英二氏が書いた 「『脱マスク』が正解?欧米は誰もしてないは勘違い~『同調疲れ』が日本での論争を過熱させている」という記事は説得力がなかった。 やはり「 『脱マスク』が正解」と思える中身だ。その一部を見ていこう。
四山神社 |
【東洋経済オンラインの記事】
はっきりしているのは、全面的な「脱マスク」は正解じゃないということ。かといって「いつでもどこでもマスク」はもっと間違っている。では何をどうすればいいのか。
withコロナのマスク生活で、押さえておくべき基本は3つだけだ。
① 換気の不十分な屋内や公共交通機関ではマスク着用がベター
② 夏は熱中症のリスクが増すため、屋外ではマスク不要
③ 子ども(小児)は基本的にマスク不要
あとは各自判断すればいい。重要なのは「マスクをするかどうか」より、「コロナ前の日常をどれだけ取り戻せるか」だ。
◎それが「コロナ前の日常」では?
まず1つツッコミを入れておきたい。「重要なのは『マスクをするかどうか』より、『コロナ前の日常をどれだけ取り戻せるか』だ」と久住氏は言う。ならば「マスクをするかどうか」は「重要」だ。「コロナ前」はマスクなしで普通に暮らしていた。「コロナ前の日常」を取り戻すことが「重要」ならば「マスクをするかどうか」も、その1つだ。
マスクに関するエビデンスに触れた部分も見ておこう。ここが最も「重要」だ。
【東洋経済オンラインの記事】
マスクの呼吸器感染症から身を守る効果については、新型コロナを機にエビデンスが急速に集積した。かつては、マスクは「ウイルスをばら撒かないためのもの」としか認識されていなかったが、科学界のスタンスは180°変わった。
昨年12月に発表された論文では、飛沫感染だけでなく空気感染(エアロゾル感染)も考慮した検証が行われている。結果は、感染リスクの高い順に以下のとおり。
●感染者と非感染者がともにマスクなしで1.5mの距離で対面会話をした場合
⇒非感染者の感染リスクは1分半で90%に到達した。
●非感染者のみが医療用マスク(サージカルマスク)を着用し、マスクなしの感染者と喋った場合
⇒1分以内に感染リスクが生じ、30分で90%に達した。
●両者とも医療用マスクを着けて会話した場合
⇒1~2分間は感染リスクが1%未満に保たれた。時間とともに徐々に感染リスクは上がったが、20分経過で10%、1時間でも20%未満だった。これは、両者マスクをせず1.5mの距離で終始黙って向き合っていた場合と、ほぼ同等。
●両者あるいは非感染者が医療用マスクをして2人とも黙っていた場合
⇒5~10分間は感染リスク1%未満、1時間経っても10%未満に抑えられた。
着け方が間違っていては適切な予防効果は得られないが、正しく着用する限り有効な予防手段となる、というのがマスクに対する世界の共通認識となった。
◎意味ある?
まず「医療用マスク(サージカルマスク)を着用」した場合の「エビデンス」を参考に「脱マスク」を議論して意味があるのか。日本では街中でマスクをしている人の99%が「医療用マスク(サージカルマスク)を着用」しているのならば分かる。むしろ逆だろう。
医療用以外のマスクでの「エビデンス」はないのか。ないとしたら、なぜ「換気の不十分な屋内や公共交通機関ではマスク着用がベター」と言い切れるのか。
百歩譲って「正しく着用する限り有効な予防手段となる」としても「正しく着用」している人があまりいないのならば「マスク着用」を勧める意味はさらに乏しくなる。その辺りの検証なしに「マスク着用がベター」と言い切るのは感心しない。
付け加えると「非感染者のみが医療用マスク(サージカルマスク)を着用」した場合と「感染者と非感染者がともにマスクなし」の場合に顕著な差がないのも引っかかる。記事で示した程度の差しかないのならば「マスクは『ウイルスをばら撒かないためのもの』」との認識で良いのではないか。
「マスク着用」に関して個人的に最も引っかかるのが飲食店だ。「飲食の時以外はマスク着用をお願いします」などと客に求めている店が多い。こうした「お願い」に意味があるのかどうかを久住氏には考えてほしかった。
「換気の不十分な屋内や公共交通機関ではマスク着用がベター」なのだとすれば「屋内にある飲食店ではマスク着用がベター」となるのだろう。しかし多くの人は「医療用マスク(サージカルマスク)を着用」していないし、食べる時には当然にマスクを外している。それでも「着用がベター」なのか。
医療現場など一部を除けば「全面的な『脱マスク』は正解」だと思える。それではなぜダメなのか。久住氏には改めて考えてほしい。
※今回取り上げた記事 「『脱マスク』が正解?欧米は誰もしてないは勘違い~『同調疲れ』が日本での論争を過熱させている」
https://toyokeizai.net/articles/-/586526
※記事の評価はD(問題あり)
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