14日付の日本経済新聞電子版に松本史記者が書いた「豪国防相、台湾有事で米国支援を明言~現地報道」という記事は興味深い。「台湾有事」に関して日本の選択を考える上で参考になる。一部を見ていこう。
大阪城 |
【日経の記事】
オーストラリアのダットン国防相は14日までに地元紙のインタビューに応じ、台湾有事の際に米国を支援する姿勢を明確にした。中国に対する豪州の強硬姿勢を改めて示した形で、外国による台湾問題への介入に警戒を強める中国からの反発は必至だ。
ダットン氏は豪紙「オーストラリアン」に対し、台湾を巡る有事の際に「もし(同盟国である)米国が行動を起こすことを選択したら、我々が米国を支援しないことは考えられない」と述べた。また台湾に対する中国の意図は明確だとし「高い水準で準備を行い(軍事的)能力による強い抑止力を持つべきだ」と強調した。
ダットン氏は今年3月に国防相に就任した。モリソン政権内でも対中強硬派として知られる。4月に台湾有事について「軽視すべきとは思わない」と発言したほか、有事の際には米国と足並みを揃える姿勢も示唆していた。
◎オーストラリアが戦うなら…
「支援」が何を指すのか必ずしも明確ではないが、「オーストラリア」は「台湾を巡る有事の際」に「米国」とともに戦う覚悟を決めたのだろう。
そこで日経(特に、日米同盟強化を訴えるのが大好きなベテランの書き手)に考えてほしいのが日本の針路だ。日米同盟強化を支持する立場からは「オーストラリアに負けず米国への忠誠を誓おう。米国が中国と戦う時は日本も全面参戦だ」となるのが自然だ。
そう訴えたいなら、それでいい。とにかく立場を明確にしてほしい。
「米国やオーストラリアが中国と戦うとしても、日本は巻き込まれたくない」と願うのならば、「日米同盟強化」と念仏のように唱えるだけではダメという話になるはずだ。
単純に言えば「日米同盟強化(属国路線継続)」と「対中戦争回避」の選択になる。
「どちらも大事。だから、どちらかを選ばなければならない事態については考えない」というのが今の日経の立場のように見える。その思考停止状態からぜひ抜け出してほしい。
※今回取り上げた記事「豪国防相、台湾有事で米国支援を明言~現地報道」
※記事の評価はC(平均的)。松本史記者への評価は暫定Dから暫定Cへ引き上げる。松本記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。
肝心な情報をなぜ抜いた? 日経 松本史記者の「豪カンタス航空、1500億円最終赤字」https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/08/1500.html
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