「PCR検査の結果は絶対じゃない。陰性が出ても、安心してはだめ。当たる確率は最高のタイミングでも7割。かかっている可能性もある」とプレジデントの「保健所座談会」で医師が語っている。これは基本的な部分での誤解があると思える。「大多数に検査」をする場合、日本での「当たる確率」(陰性的中率)は100%近くになるはずだ。
彼岸花 ※写真と本文は無関係です |
以下の内容で問い合わせを送ってみた。
【プレジデントへの問い合わせ】
プレジデント編集部 担当者様
10月30日号に載った「保健所座談会~『おい、共産党! PCR検査を増やせば医療は崩壊する』」という記事についてお尋ねします。この中で公衆衛生医のA氏は以下のように発言しています。
「それに、PCR検査の結果は絶対じゃない。陰性が出ても、安心してはだめ。当たる確率は最高のタイミングでも7割。かかっている可能性もある」
これを信じれば、PCR検査で「陰性」となった場合でも、3割の確率で新型コロナウイルスに感染していることになります。しかし、これは感度と特異度を混同しているのでありませんか。
北海道大学病院の調査によると「感度は従来いわれていた70%を遥かに上回る約90%」で「特異度は99.9%以上」だそうです。
A氏は「感度」が「7割」と言われていたので「当たる確率は最高のタイミングでも7割」と考えたのではないでしょうか。しかし「陰性のものを正しく陰性と判定する確率」を表すのは「特異度」です。これが「99.9%以上」だと話は全く変わってきます。
全体の罹患率10%、感度70%、特異度99%と仮定すると「陰性」の場合の「当たる確率」は96%になります。ここでは罹患率10%という高めの数字で計算していますが、日本で「大多数に検査」をする場合、罹患率は10%よりかなり低くなるはずです。
そう考えると「陰性」が出た場合は、かなり「安心」してよいと見る方が自然です。少なくとも「当たる確率は最高のタイミングでも7割」とは言えません。
A氏の発言には「PCR検査」に関する誤解があると見てよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。誤解に基づく発言であれば次号での訂正をお願いします。
付け加えると「おい、共産党! PCR検査を増やせば医療は崩壊する」との見出しには問題を感じました。「保健所座談会」では誰もこの趣旨の発言をしていません。挑発的な見出しを付けるなとは言いませんが「共産党もPCR検査を増やせと政府に申し入れしたそうですね。もう検査しろっていう人たちを見ると、『あ、コロナ脳』としか思えません」といった発言から「おい、共産党! PCR検査を増やせば医療は崩壊する」という見出しを持ってくるのはどうかと思いました。
問い合わせは以上です。回答をお願いします。
◇ ◇ ◇
※今回取り上げた記事「保健所座談会~『おい、共産党! PCR検査を増やせば医療は崩壊する』」
※記事の評価はD(問題あり)
0 件のコメント:
コメントを投稿