2020年2月13日木曜日

平成は「三十数年」続いた? 日経 中村直文編集委員「Deep Insight」

日本経済新聞の中村直文編集委員は「平成」が32年以上続いたと思っているようだ。でないと「平成の三十数年」とは書かないだろう。記事には他にも問題を感じたので以下の内容で問い合わせを送った。
福岡県立福岡高校(福岡市)※写真と本文は無関係です

【日経への問い合わせ】

日本経済新聞社 中村直文様

13日の朝刊オピニオン面に載った「Deep Insight~荒野生む 流通0強時代」という記事についてお尋ねします。記事には「流通2強の競合時代を振り返れば、安さだったり、便利さだったり、消費者が望む"大義"が成長の原動力となってきた。2強は平成の三十数年の間、ショッピングセンター(SC)とフランチャイズ(FC)に金融を絡めたモデルでのしあがった」との記述があります。

数年」とは「2、3か5、6ぐらいの年数」(デジタル大辞泉)です。「平成の三十数年」と言うのであれば「平成」には最低でも32年が必要です。言うまでもありませんが、「平成」は30年4カ月ほどで終わっています。「平成の三十数年」いう記述は誤りではありませんか。

次は以下のくだりに関してです。

セブン&アイも00年代、イオンに対抗して店舗を拡大、『軍拡競争』に乗り出した。そごう・西武や専門店、通販を買収したほか、食品スーパーに出資するなど、手を広げた。百貨店やスーパー、専門店は2強に参加するか、あるいは各地の有力スーパーの傘下に入るか、選択を迫られた

この説明が正しければ「00年代」には「百貨店やスーパー、専門店は2強に参加するか、あるいは各地の有力スーパーの傘下に入るか、選択を迫られた」はずです。しかし、当時も今も高島屋、三越伊勢丹ホールディングスといった大手の「百貨店」は「2強に参加」していませんし「各地の有力スーパーの傘下」にも入っていません。記事の説明は誤りではありませんか。

最後に以下のくだりにも注文を付けておきます。

恐らくこの先、イオンとセブンを中心とした再編劇は見られなくなる。撤退した小売りや店舗の買い手はつかず、各地に荒涼とした風景が広がりそうだ。1月に突如営業を終了した山形市の百貨店、大沼はその最たる例といえる。00年代、地方中心都市の百貨店なら必ず買い手がついた。三越伊勢丹ホールディングスが系列化を進めた札幌の丸井今井、福岡の岩田屋などがそうだ。これからは単に空き店舗になるだけ。山形県に続き、百貨店の空白県が生まれるだろう。すでに各地で中心市街地に空き地ができている。浜松市では倒産した百貨店、松菱の跡地が宙に浮く。大丸松坂屋百貨店を傘下に置くJ・フロントリテイリングが進出する予定だったが、08年のリーマン・ショックで断念した。スーパーも倒産が増え、空き地も増えるだろう。モノを軸とした消費経済のうたげの始末が始まった

まず「00年代、地方中心都市の百貨店なら必ず買い手がついた」との説明が引っかかります。その後に「浜松市では倒産した百貨店、松菱の跡地が宙に浮く。大丸松坂屋百貨店を傘下に置くJ・フロントリテイリングが進出する予定だったが、08年のリーマン・ショックで断念した」と出てきます。この説明が合っているのならば「00年代、地方中心都市の百貨店なら必ず買い手がついた」とは思えません。

08年」は「00年代」ですし、「浜松市」は静岡県西部の「中心都市」です。人口80万人を有する政令指定都市の「浜松市」を「地方中心都市」ではないと見なすのは無理があります。

問い合わせは以上です。回答をお願いします。御紙では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。「世界最強のビジネスメディア」であろうとする新聞社の一員として責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇

※今回取り上げた記事「Deep Insight~荒野生む 流通0強時代
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200213&ng=DGKKZO55527540S0A210C2TCT000


※記事の評価はD(問題あり)。中村直文編集委員への評価はDを維持する。中村編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。

無理を重ねすぎ? 日経 中村直文編集委員「経営の視点」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2015/11/blog-post_93.html

「七顧の礼」と言える? 日経 中村直文編集委員に感じる不安
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/blog-post_30.html

スタートトゥデイの分析が雑な日経 中村直文編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/blog-post_26.html

「吉野家カフェ」の分析が甘い日経 中村直文編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/blog-post_27.html

日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」が苦しすぎる
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_3.html

「真央ちゃん企業」の括りが強引な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_33.html

キリンの「破壊」が見えない日経 中村直文編集委員「経営の視点」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/12/blog-post_31.html

分析力の低さ感じる日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/01/blog-post_18.html

「逃げ」が残念な日経 中村直文編集委員「コンビニ、脱24時間の幸運」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/24.html

「ヒットのクスリ」単純ミスへの対応を日経 中村直文編集委員に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/blog-post_27.html

日経 中村直文編集委員は「絶対破れない靴下」があると信じた?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_18.html

「絶対破れない靴下」と誤解した日経 中村直文編集委員を使うなら…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_21.html

「KPI」は説明不要?日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」の問題点
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/06/kpi.html

日経 中村直文編集委員「50代のアイコン」の説明が違うような…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/06/50.html

「セブンの鈴木名誉顧問」への肩入れが残念な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/07/blog-post_15.html

「江別の蔦屋書店」ヨイショが強引な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_2.html

渋野選手は全英女子まで「無名」? 日経 中村直文編集委員に異議あり
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_23.html

早くも「東京大氾濫」を持ち出す日経「春秋」の東京目線
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_29.html

日経 中村直文編集委員「業界なんていらない」ならば新聞業界は?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/09/blog-post_5.html

「高島屋は地方店を閉める」と誤解した日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/10/blog-post_23.html

野球の例えが上手くない日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/11/blog-post_15.html

「コンビニ 飽和にあらず」に説得力欠く日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/01/blog-post_23.html

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