2020年2月2日日曜日

記事の「構成」他人任せの週刊ダイヤモンド深澤献論説委員に引退勧告

週刊ダイヤモンドの深澤献論説委員には書き手としての引退を勧告したい。編集長時代に読者からの間違い指摘を無視して記事中のミスを放置し続けただけでも十分に罪深い。加えて2月8日号の「イノベーターの育ち方(第29回)中川祥太/キャスターCEO~小5で『もう勉強しない』と宣言した開業医の長男が『新しい働き方』で起業するまで」という記事が問題だ。
博多リバレインモール(福岡市)※写真と本文は無関係

まず「聞き手」が深澤論説委員で「構成」がライターの片瀬京子氏となっているのに呆れる。編集長時代ならば「多忙だから」と弁明できたかもしれないが「論説委員」の肩書を付けているのに「構成」を他の人に任せてどうする。自分で「構成」を考えるのが難しいのならば、後進に道を譲るべきだ。

前置きが長くなった。記事に出てくる「キャスターCEO」の「中川祥太」氏の発言には色々と疑問が浮かぶ。「中川祥太」氏がおかしな話をしてきたら、そこは深澤論説委員がツッコミを入れてほしい。「中川祥太」氏はきちんと話をしているのに「構成」が下手だから訳の分からない内容になっている可能性ももちろんある。

ともかく中身を見ていこう。

【ダイヤモンドの記事】

──医者になることを意識していましたか。

してないですね。目の前に問題があるから解く。好き嫌いではなく、できたからやっただけです。

──ところが受験勉強は小5で“卒業”したそうですね。

 はい。塾の授業中、算数だったかな、俺の隣にいた子が分かってなかったので俺が教えたんです。そしたら先生に「こいつはおまえに教わりに来てるんじゃない」と怒られてしまい、それで勉強をやめました。この人たちのために頑張っても意味がないと、一気に冷めてしまったんです。家でも勉強しなくなって、塾の授業も惰性で受けるようになりました。

親からは「受験が終わったら勉強しなくていい」と言われて、一応、適当に受験はしましたが、周りに「俺は中学に入っても勉強はしない」と宣言していました。



◎「この人たちのために頑張って」た?

受験勉強」は「目の前に問題があるから解く。好き嫌いではなく、できたからやっただけ」と最初に述べている。

しかし、塾で「先生」に「怒られ」たことで「この人たちのために頑張っても意味がないと、一気に冷めてしまった」らしい。「この人たち」とは「先生」たちなのだろう。「目の前に問題があるから解く。好き嫌いではなく、できたからやっただけ」ではなかったのか。「この人たちのために頑張って」いたのか。

そもそも「この人たち=先生たち」のために「受験勉強」を「頑張って」いたのが解せない。そんなに「先生」が大事だったのか。親の期待に応えるために「頑張って」いたのならばまだ分かるが…。

謎は他にもある。

【ダイヤモンドの記事】

──入学したのは奈良の中高一貫の進学校、西大和学園です。

入って最初のテストから最下位でした。問題を見た瞬間から解く気がありませんでした。そこから6年間、成績はずっと最下位近辺です。三者面談でも「どうしましょう」という話になって、親も最初はごちゃごちゃ言ってましたけど、そのうち「確かに勉強しなくていいと言ったし、自分で決めたことだし」という感じでした。

──勉強はしないけれど登校はしていたんですね。

大阪から奈良までなので、往復2時間半から3時間かかるんですけど、通学はしていました。授業中は寝ているか本を読むか、放課後は他校の友達と繁華街で遊んだりもしていましたが、それでも暇なので、中2で「音楽やってみようかな」と、ベースを始めました。



◎どうして卒業できた?

経歴を見ると「中川祥太」氏は高校を卒業しているようだ。「『俺は中学に入っても勉強はしない』と宣言」し、中学に「入って最初のテスト」で「問題を見た瞬間から解く気がありませんでした」という状態ならば、「6年間」通っても高校は卒業できないはずだ。あるいは「西大和学園」はテストが全部0点でも卒業できるのか。

成績はずっと最下位近辺」というのも引っかかる。「テスト」で「解く気」が全くないのならば「最下位」が定位置のはずだ。なぜ「近辺」なのか。「最下位」ではない時もあったのではないか。だとすると、多少は「問題」を解いていた疑いが出てくる。

次に進もう。

【ダイヤモンドの記事】

──大学生活は?

大学も1年目から授業に出ず、お金を稼ごうとアルバイトをしていました。バンドでオリジナルをやりながら、スタジオミュージシャンをやったりプロにローディとして同行して手伝ったり。でも、ミュージシャンって稼げないんですよ。いくらうまくても稼げなくてはしんどい。

ところが、たまたま始めたライブドアマーケティングのテレアポのバイトが、アホみたいに稼げるんです。勢いのある世界とない世界があることも知って、音楽じゃないことをしようと決めました。



◎いきなり「ローディ」…

まず何の注釈も付けずに「ローディ」を使っているのは記事の作り手に問題がある。ダイヤモンドの読者のほとんどが理解できる言葉だと思っているのか。
筑後川サイクリングロード(福岡県久留米市)
        ※写真と本文は無関係です

ついでに言うと「ミュージシャンって稼げないんですよ」は言い訳に聞こえる。莫大なカネを手にした「ミュージシャン」はたくさんいる。それは一握りで、大多数の「ミュージシャン」は「稼げない」かもしれないが、だからと言って「ミュージシャンって稼げないんですよ」とひとまとめにするのはちょっと…。

さらに見ていく。

【ダイヤモンドの記事】

──テレアポでのストレス耐性だけでなく、勉強をやめると宣言して以降、本当に一切やらなかったというのも含め、メンタルの強さがうかがわれますが、それは持って生まれたものですか。

うちは、父も祖父も医者、曽祖父は満州の建築家でした。サラリーマンがいないので、他の人と違うことが怖いという感覚がないんです。こうあるべき、がない



◎「サラリーマンがいないので」?

サラリーマンがいないので、他の人と違うことが怖いという感覚がない」という説明が謎だ。「父も祖父も医者」だと「自分も医者にならないと…」といった「感覚」が生まれても不思議ではない。

父も祖父も医者、曽祖父は満州の建築家」だとしたら、アウトロー的な生き方を誰もしていない。なのに「こうあるべき、がない」となるのか。

最後にもう1つ。

【ダイヤモンドの記事】

──では中川さんがストレスを感じるものは何ですか。

満員電車ですね。上京して原宿駅に行ったとき、狭いホームにたくさんの人が立っていて、そこに電車が入ってくるのを見て、やばい、東京で電車には乗りたくないと思いました

すぐにバイクの免許を取って、移動はバイクになりました。その後、会社員になってからも会社に内緒でバイクで通っていました。



◎大阪にも「満員電車」はあるが…

中川祥太」氏は大阪府の出身で、中学高校時代について「大阪から奈良までなので、往復2時間半から3時間かかるんですけど、通学はしていました」と語っている。だとしたら大阪で「満員電車」を経験しているはずだが…。

ド田舎から上京して「満員電車」に驚いたかのような話をしているのが引っかかる。「東京で電車には乗りたくない」と言うが、大阪の「満員電車」は平気なのだろうか。

あれこれ書いてきたが、深澤論説委員はこうした点に何の疑問も持たなかったのか。だとしたら「聞き手」としても力不足だ。

やはり引退が最善の選択だと思える。


※今回取り上げた記事「イノベーターの育ち方(第29回)中川祥太/キャスターCEO~小5で『もう勉強しない』と宣言した開業医の長男が『新しい働き方』で起業するまで
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/28647


※記事の評価はD(問題あり)。深澤献論説委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。

AIに関する週刊ダイヤモンド深澤献編集長の珍説を検証
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/02/blog-post_6.html

西船橋は「都心」? 週刊ダイヤモンド特集「勝つ街負ける街」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/01/blog-post_79.html

「昔の人は早熟」? 週刊ダイヤモンド深澤献編集長の誤解
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/blog-post_11.html

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