福岡県立福岡高校(福岡市) ※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
高い理念を掲げ、実際のビジネスで成長軌道に乗る新興企業が目立ってきた。すでに上場したレノバは再生可能エネルギー事業を手掛ける。ラクスルは印刷や広告・物流など中小企業の課題をシェアリングで解決する。
中小型株運用で実績を上げてきたアセットマネジメントOneの岩谷渉平氏は大きな変化を感じている。金融危機前の起業ブームのような、うかれた雰囲気が経営者にまるでない。「特に30代のトップの社会問題への意識は高い」
自分の職業を考える時期に金融危機や東日本大震災が重なったせいか。正面から社会的課題に向き合う。資本も自分のものではなく、他人から託されたとの思いが強い。
その姿勢が周囲を動かす。「上の世代が自分では実現できなかったバトンを、若いリーダーに託し始めたようにみえる」と岩谷氏。レノバの会長には第二電電(現KDDI)を創業した千本倖生氏が就いている。資本の出し手側も多くは上の世代。年齢の逆転現象が明らかに起きている。
エンジェルジャパン・アセットマネジメントの柳葉徹氏も、企業訪問を重ねるなかで新たな経営者像をみている。「経済価値と社会価値の両立を自然に考える世代だ。高いビジョンに、この指止まれで人が集まる」
振り返れば2000年代はまだライブドアのような新勢力の台頭に、旧世代の抵抗があった。今や資本をうまく生かせる新たな担い手に渡す土壌は整いつつある。日本全体でみた資本の再配置だ。
5年、10年先にはそうした企業の中から、日本経済を描き直す主役が育ってくるはずだ。バブル高値から30年。GAFAのような巨大企業の不在を嘆くより、いま動き出した歯車をしっかり前に、着実に進めるときだろう。
◎バトンを託してる?
「上の世代が自分では実現できなかったバトンを、若いリーダーに託し始めた」例として「レノバの会長には第二電電(現KDDI)を創業した千本倖生氏が就いている」と書いたのだろう。
しかし「会長」職にあるのならば「若いリーダーに託し始めた」とは言い切れない。「上の世代」が現役で頑張っている事例に使う方がまだしっくり来る。
さらに言えば「千本倖生氏」を「第二電電(現KDDI)を創業した」と紹介するのも苦しい。KDDIのサイトで「第二電電の概要」を見ると「母体は京セラ、創業者は稲盛和夫」となっており「千本倖生氏」を「創業者」とは認定していない。
藤田編集委員の説明だと「第二電電」を「千本倖生氏」が1人で「創業」したような印象を受ける。「千本倖生氏」を強引に「創業者」と見なすとしても「稲盛和夫氏とともに」ぐらいは入れてほしい。
さらに理解に苦しむのが「資本の出し手側も多くは上の世代。年齢の逆転現象が明らかに起きている」というくだりだ。エンジェル投資に関して言えば「資本の出し手側も多くは上の世代」というのは「2000年代」でも、さらに遡っても変わらない気がする。しかし藤田編集委員は「年齢の逆転現象が明らかに起きている」と断定している。
記事を素直に解釈すると、以前は「資本の出し手側」の「多く」が「下の世代」だったのに、最近は「上の世代」が「資本の出し手側」に回る「年齢の逆転現象」が「起きている」のだろう。
しかし、常識的には考えにくい。以前は「資本の出し手側」の「多く」が「下の世代」だったと判断できる材料は記事中にも見当たらない。
大した変化が起きていないのに重要な転換点を迎えたかのように書こうとして無理が生じ、よく分からない説明になってしまったと考えるべきだろう。
今回の記事にも及第点は与えられない。
※今回取り上げた記事「一目均衡~次世代に資本のバトンを」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200128&ng=DGKKZO54892390X20C20A1DTA000
※記事の評価はD(問題あり)。藤田和明編集委員への評価はDを維持する。藤田編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。
「FANG」は3社? 日経 藤田和明編集委員「一目均衡」の説明不足
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/fang.html
改善は見られるが…日経 藤田和明編集委員の「一目均衡」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_2.html
「中国株は日本の01年」に無理がある日経 藤田和明編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/11/01.html
「カラー取引」の説明不足に見える日経 藤田和明編集委員の限界
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/02/blog-post_37.html
東証は「4市場」のみ? 日経 藤田和明編集委員「ニッキィの大疑問」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_28.html
合格点には遠い日経 藤田和明編集委員の「スクランブル」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_10.html
0 件のコメント:
コメントを投稿