2019年4月20日土曜日

「オプジーボ巡る対立」既に長期化では? 日経ビジネス橋本宗明編集委員に問う

日経ビジネス4月22日号に載った「時事深層 INDUSTRY~オプジーボの対価巡り小野薬品と溝 本庶氏が小野薬品に突き付けた『1000億円』」という記事にはツッコミを入れたくなった。
浦山公園の桜(福岡県久留米市)※写真と本文は無関係

筆者の橋本宗明編集委員は最初の段落で「対立が長引けば産学連携の機運の高まりに冷や水を浴びせかねない」と書き、最後も「両者の対立が長引き、産学連携の機運の高まりに冷や水を浴びせる事態に発展することだけは避けてもらいたい」と締めている。内容がダブり過ぎている感じもするが、今回ツッコミを入れるのはそこではない。

記事の書き方から判断すると橋本編集委員は「現時点では対立は長引いていない」と見ているようだ。これが解せない。記事の一部を見ていこう。

【日経ビジネスの記事】

小野薬品と本庶氏は06年10月にライセンス契約を交わした。ただライセンス料が1%以下と低かったことから、11年に本庶氏側が料率の見直しを要請した。

13年には小野薬品から修正案が提示されるが、合意には至らず現在に至る。18年には小野薬品は一括支払いを提案するも本庶氏が拒否。


◎既に「長引いて」いるような…

記事の説明を信じれば「11年に本庶氏側が料率の見直しを要請した」ことが「対立」の出発点だ。だとすれば既に8年が経過している。「両者の対立」は十分に長引いているのではないか。「8年は長くない」と橋本編集委員は考えているのだろうか。だとしたら、どのぐらい「対立」が続けば「長引いた」と言えるのか示してほしい。

産学連携の機運の高まりに冷や水を浴びせかねない」という説明も解せない。「両者の対立」は8年も続いているのに、現時点では「産学連携の機運の高まり」が見られるようだ。

ノーベル賞受賞後の方が注目を浴びるという面はあるが、過去に両者が長く「対立」していても「産学連携の機運の高まり」を実現できたのだから、心配する必要はなさそうな気もする。

それに決着を急げば「産学連携の機運の高まりに冷や水を浴びせ」ないとも言い切れない。例えば「本庶氏側」に圧倒的に不利な条件で決着した場合、「」の側が「産学連携」に消極的になる可能性もある。

「対立はまだ長引いていないのか。長引くと本当に産学連携の機運の高まりに水を差すのか」に関して橋本編集委員はもう一度じっくり考えてほしい。


※今回取り上げた記事「時事深層 INDUSTRY~オプジーボの対価巡り小野薬品と溝 本庶氏が小野薬品に突き付けた『1000億円』
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00131/


※記事の評価はC(平均的)。橋本宗明編集委員への評価は暫定でCとする。

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