2019年4月10日水曜日

日経1面「ファミマ、24時間見直し試行」の辻褄合わない説明

10日の日本経済新聞朝刊1面に載った「ファミマ、24時間見直し試行 6月にも、FC270店対象に」という記事には辻褄の合わない説明が出てくる。「ファミマ」は「地域内の店舗がそろって営業時間を短くすると、加盟店売り上げや利益にどんな影響や効果があるかを調べる」 らしいが、記事の説明通りならば「そろって営業時間を短くする」実験はできそうもない。
筑後川沿いの桜と菜の花(福岡県久留米市)
        ※写真と本文は無関係です

記事の全文は以下の通り。

【日経の記事】

ファミリーマートは6月、24時間営業の見直しを視野に入れ、営業時間を短縮した店舗の運営を試行する。地域や曜日を限り、およそ270のフランチャイズチェーン(FC)店を対象に営業時間を短縮する試みへの参加を募る。数十店が試行する見通し。コンビニエンスストアは人手不足や人件費上昇を背景に事業モデルの根本的見直しが急務となっている。

6月にも東京都文京区や千代田区の一部と長崎県諫早市や雲仙市などで日曜日の深夜時間帯を閉店する実験を始める。東京都豊島区の池袋周辺や秋田県南部の地域を対象とした深夜・早朝の営業時間短縮(時短)の実験も開始する。

両実験の対象エリアにあるFC店は約270店で、今後各店に実験への参加意向を確認し、希望した店すべてが参加できるようにする。期間は3カ月もしくは6カ月とし、営業時間は午前5時~翌午前1時、午前7時~午後11時までなど3種類を用意する考えだ。

これまで全国で数店舗の営業時間短縮を実験してきたが、地域内の店舗がそろって営業時間を短くすると、加盟店売り上げや利益にどんな影響や効果があるかを調べる。

地域全体をまとめることで店舗への配送網の見直しにまで踏み込む。実験の結果を経て、特定地域の営業時間を24時間より短くすることや、特定の曜日の深夜や早朝を休業することが可能かを検討する。本部の収益にどの程度響くかも調べる。

背景にあるのは人手不足だ。従業員やパートの確保がままならず、FC店の負担は増大している。ファミマは加盟店の支援も拡充する。



◎「数十店」にとどまるなら…

両実験の対象エリアにあるFC店は約270店」で「数十店が試行する見通し」と書いている。そして「参加を募る」方式なので、地域内に参加店舗と不参加店舗が混在するはずだ。それでどうやって「地域内の店舗がそろって営業時間を短くすると、加盟店売り上げや利益にどんな影響や効果があるかを調べる」ことができるのか。

例えば「秋田県南部」は強制参加とすれば、「地域内の店舗がそろって営業時間を短くする」状況を作れる。しかし、そうはならないようだ。たまたま「数十店」が特定地域に集中する可能性もゼロではないが、それを前提に実験をするとは思えない。

地域全体をまとめることで店舗への配送網の見直しにまで踏み込む」という説明も解釈に迷う。「店舗への配送網の見直しにまで踏み込む」のは実験での話なのか、実験後の展望なのか、よく分からない。

この説明が出てくる段落は全体に冗長な印象を受けた。「こと」が続くのも気になる。改善例を示してみる。

【改善例】

地域全体をまとめることで店舗への配送網の見直しにまで踏み込む。実験の結果を経て、特定地域の営業時間を24時間より短くしたり、特定の曜日の深夜や早朝を休業したりできるか検討する。本部の収益にどの程度響くかも調べる。

◇   ◇   ◇

こと」は3つから1つに減らせた。「ことが可能」は基本的に使わない表現だと覚えておいていい。例えば「短縮することが可能になる」は「短縮できる」「短くできる」などと言い換えてほしい。


※今回取り上げた記事「ファミマ、24時間見直し試行 6月にも、FC270店対象に
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190410&ng=DGKKZO43531820Z00C19A4MM8000


※記事の評価はD(問題あり)。

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