2017年10月23日月曜日

ベーシックインカムだと「所得把握」が必要? FACTAの誤解

FACTA11月号の「『勝ち馬総選挙』財政破綻へ一直線」という記事で、「ベーシックインカム」を誤解していると思える記述があった。「既存の生活保障制度をやめてベーシックインカムに統合する際には、相当な摩擦が予想される。一人ひとりの所得把握も必要となる」と記事では説くが「一人ひとりの所得把握」ができなくても「ベーシックインカム」制度は導入できるはずだ。
だんごあん(福岡県朝倉市)※写真と本文は無関係です

FACTAへの問い合わせ内容は以下の通り。

【FACTA への問い合わせ】

FACTA  主筆 阿部重夫様  発行人 宮嶋巌様  編集人 宮崎知己様

『勝ち馬総選挙』財政破綻へ一直線」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下のくだりです。

「(希望の党は)さらに驚くことに、公約ではベーシックインカム(最低所得保障=BI)の導入検討をうたった。この制度はどこを最低保障とするかの線引きで必要となる財源は全く異なる。既存の生活保障制度をやめてベーシックインカムに統合する際には、相当な摩擦が予想される。一人ひとりの所得把握も必要となるから、個々人の抵抗も並大抵ではあるまい

疑問に思ったのは「ベーシックインカムに統合する際には、相当な摩擦が予想される。一人ひとりの所得把握も必要となる」という説明です。ベーシックインカムとは「就労や資産の有無にかかわらず、すべての個人に対して生活に最低限必要な所得を無条件に給付するという社会政策の構想」(知恵蔵)です。「すべての個人に対して生活に最低限必要な所得を無条件に給付する」のですから「一人ひとりの所得把握」は必要ありません。

人事労務用語辞典でもベーシックインカムに関して「年齢、所得、資産、勤労の意志などに関係なく、国民なら誰でも毎月一律の給付金を受けられるのが特徴です」と解説しています。記事では「低所得者に対して、最低所得の基準に達しない場合はその差額を給付する」といった制度を想定しているのかもしれません。しかし、それは「ベーシックインカム」とは言えません。希望の党の公約にも「ベーシックインカム導入により低所得層の可処分所得を増やす」といった程度の記述しかないので、本来の姿とは異なる「ベーシックインカム」を想定すべき理由も見当たりません。

ベーシックインカム」に関する「一人ひとりの所得把握も必要」との説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

御誌では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。読者から購読料を取っているメディアとして、責任ある行動を心掛けてください。

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※今回取り上げた記事「『勝ち馬総選挙』財政破綻へ一直線
https://facta.co.jp/article/201711008.html

※記事の評価はD(問題あり)。

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