2017年7月27日木曜日

早大付属校の説明に問題あり 東洋経済「これから伸びる中学・高校」

週刊東洋経済7月29日号の第1特集「これから伸びる中学・高校」で早稲田大学の付属校に関して不正確だと思える説明があった。23日(日)に問い合わせを送ったが、27日(木)の段階で回答はない。先日、間違い指摘に久々の回答をした東洋経済だが、読者の指摘に対して誠実に向き合う姿勢に転じたとまでは言えないようだ。
豪雨被害を受けた朝倉市 ※写真と本文は無関係です

問い合わせの内容は以下の通り。

【東洋経済への問い合わせ】

7月29日号の第1特集「これから伸びる中学・高校」の中の「入学後に後悔しない付属校の正しい選び方」という記事についてお尋ねします。この記事には以下の記述があります。

「大学付属校といえば、首都圏では早稲田大学、慶応義塾大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学、関西では関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学の系列が有名だ。これらの付属校は内部進学率が圧倒的に高い。左ページ表は中学受験における大学付属校各校の偏差値だ」

ここで気になるのが早稲田大学の系列です。早稲田高校のホームページには「近年の卒業生(現役)の進学状況をみると、約50%が早稲田大学へ推薦で進学しています」との説明があり、「内部進学率が圧倒的に高い」状況とはなっていません。

早稲田佐賀も同様で、同校のホームページによれば「早稲田大学への推薦入学制度」を利用しているのは「入学定員の50%程度」にとどまるようです。早稲田摂陵に至っては早稲田大学への推薦枠が「40名程度」(同校ホームページ)しかなく、内部進学率は10%強にとどまるはずです。

この指摘に対しては「3校は付属校ではなく系属校であり、しかも早稲田佐賀と早稲田摂陵は首都圏外だ」との反論が考えられます。しかし、記事で言う「左ページ表」では「早慶MARCHの付属校でもレベルはさまざま-2017年中学入試結果偏差値(首都圏)-」というタイトルになっていて、早稲田高校、早稲田佐賀、早稲田摂陵も「首都圏の付属校」として名を連ねています。

これを基にすると、早稲田大学に関して「付属校は内部進学率が圧倒的に高い」というのは一部しか当てはまらないのではありませんか。「記事で言う付属校とは系属校を除く」との前提があるのならば、表の説明に問題があると思えます。御誌の見解を教えてください。

◇   ◇   ◇

早稲田大学に関しても、付属校と系属校に分けて考えれば「付属校は内部進学率が圧倒的に高い」との説明で問題ない。だが、記事に付いた表を見る限り系属校も含めて「付属校」として扱っている。
九州北部豪雨後の福岡県立朝倉光陽高校(朝倉市)
            ※写真と本文は無関係です

早稲田佐賀、早稲田摂陵がなぜ「首都圏」なのかもよく分からないが、表で言う「首都圏」とは「首都圏の大学の付属校」という意味かもしれない。

今回の記事からは(1)早稲田大学の付属校(早稲田、早稲田佐賀、早稲田摂陵を含む)は内部進学率が圧倒的に高い(2)早稲田佐賀、早稲田摂陵に関しては偏差値が50以下--と読み取れる。そこから「早稲田佐賀、早稲田摂陵は難易度が高くないのに、ほぼ確実に早稲田大学へ進学できる」と誤解する読者がいてもおかしくない。

なのに、問い合わせに対してきちんと回答する姿勢を見せないとは…。


※記事の評価はD(問題あり)。ただ、上記の問題以外に気になる点はない。表の作成は編集部に任せている可能性が高いと思えるので、筆者である おおたとしまさ氏(育児・教育ジャーナリスト)への評価は見送る。

追記)結局、回答はなかった。

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