佐賀県立美術館(佐賀市) ※写真と本文は無関係です |
そんな中で、明治大学教授の鹿島茂氏が書いた「丸の内~岩崎と渋沢の買収合戦 海から陸に転じた三菱」には、以下のような気になる記述があった。
【エコノミストの記事】
「『岩崎彌之助伝』によると、弥之助と荘田平五郎は丸の内をたんにビジネス街にするだけではなく、劇場や美術館を建設する意図を持っていたが、諸般の事情で建設には至らなかったという。このうち、美術館は近年、三菱一号館美術館の建設によって実現を見たが、劇場はいまだ実現にこぎつけていない。
よって、三菱地所による「常盤橋街区再開発プロジェクト」にまだ検討の余地が残されているなら、多少とも演劇にかかわる人間として、岩崎と荘田の頭にあったに違いない「東京ブロードウェー計画」をぜひとも取り入れていただきたいと思う。世界の首都で劇場街を持たないのは東京くらいなのだから。
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「世界の首都で劇場街を持たないのは東京くらいなのだから」という説明は二重に引っかかる。まず、「東京以外の首都には劇場街があるのか」について考えてみたい。
米国には「ブロードウェー」と呼ばれる劇場街があるようだが、これは首都ワシントンではなくニューヨークだ。ワシントンにも「劇場街」があるのかもしれないが、そうだとしても「世界の首都で劇場街を持たないのは東京くらい」だとは考えにくい。
例えば、平壌(北朝鮮)やティンプー(ブータン)に「劇場街」があるのかなとは思う。太平洋に浮かぶ島国の首都はどうだろう。行ったことはないので断定はできない。ただ、いずれの首都にも本格的な「劇場街」があるとは想定しにくい。
「どんな首都にだって小さいながらも劇場街はある」という可能性は否定しない。ただ、それを言えば東京も同じではないか。実際に日比谷を「劇場街」と呼ぶ向きもあるようだ。「日比谷は規模が小さすぎる。あれは劇場街ではない」と言うのであれば、「ワシントンを含め東京以外の首都はどうなのか」となってしまう。やはり「世界の首都で劇場街を持たない」ケースは東京以外にも多数ある気がする。
※特集全体の評価はC(平均的)。
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