2016年9月21日水曜日

週刊エコノミスト「ぶらり日本経済」で鹿島茂教授に疑問

週刊エコノミスト9月27日号の特集「ぶらり日本経済」は悪くない出来だった。もっとも「永田町周辺~消える『権力の館』 角福戦争、小泉vs中曽根の砂防会館」(筆者は東京新聞デスク長の清水孝幸氏)と「原発の闇~角栄ブームと土地転がし 柏崎刈羽から目白に運ばれた4億円」(筆者は元朝日新聞政治部長の羽原清雅氏)の2本は、「ぶらり日本経済」というより「ぶらり日本政治」に近いが…。
佐賀県立美術館(佐賀市) ※写真と本文は無関係です

そんな中で、明治大学教授の鹿島茂氏が書いた「丸の内~岩崎と渋沢の買収合戦 海から陸に転じた三菱」には、以下のような気になる記述があった。

【エコノミストの記事】

「『岩崎彌之助伝』によると、弥之助と荘田平五郎は丸の内をたんにビジネス街にするだけではなく、劇場や美術館を建設する意図を持っていたが、諸般の事情で建設には至らなかったという。このうち、美術館は近年、三菱一号館美術館の建設によって実現を見たが、劇場はいまだ実現にこぎつけていない。

よって、三菱地所による「常盤橋街区再開発プロジェクト」にまだ検討の余地が残されているなら、多少とも演劇にかかわる人間として、岩崎と荘田の頭にあったに違いない「東京ブロードウェー計画」をぜひとも取り入れていただきたいと思う。世界の首都で劇場街を持たないのは東京くらいなのだから。

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世界の首都で劇場街を持たないのは東京くらいなのだから」という説明は二重に引っかかる。まず、「東京以外の首都には劇場街があるのか」について考えてみたい。

米国には「ブロードウェー」と呼ばれる劇場街があるようだが、これは首都ワシントンではなくニューヨークだ。ワシントンにも「劇場街」があるのかもしれないが、そうだとしても「世界の首都で劇場街を持たないのは東京くらい」だとは考えにくい。

例えば、平壌(北朝鮮)やティンプー(ブータン)に「劇場街」があるのかなとは思う。太平洋に浮かぶ島国の首都はどうだろう。行ったことはないので断定はできない。ただ、いずれの首都にも本格的な「劇場街」があるとは想定しにくい。

「どんな首都にだって小さいながらも劇場街はある」という可能性は否定しない。ただ、それを言えば東京も同じではないか。実際に日比谷を「劇場街」と呼ぶ向きもあるようだ。「日比谷は規模が小さすぎる。あれは劇場街ではない」と言うのであれば、「ワシントンを含め東京以外の首都はどうなのか」となってしまう。やはり「世界の首都で劇場街を持たない」ケースは東京以外にも多数ある気がする。


※特集全体の評価はC(平均的)。

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