2018年8月23日木曜日

日経に問う「シンガポールはマレー半島の先端にある自由貿易の島」?

日本経済新聞の岩本健太郎記者によると、シンガポールは「マレー半島の先端にある」「自由貿易の島」らしい。個人的には「マレー半島の先端」はマレーシア領だと思える。シンガポールは「マレー半島」の一部ではなく島国だ。さらに言えば「自由貿易」の島でもない。
ハンググライダーの着陸地点(福岡県久留米市)
           ※写真と本文は無関係です

日経には以下の内容で問い合わせを送った。

【日経への問い合わせ】

日本経済新聞社 岩本健太郎様

22日の夕刊ニュースぷらす面に載った「グローバルウオッチ~自由貿易の島 200年の重み シンガポール」という記事について2点お尋ねします。

(1)シンガポールは「自由貿易の島」ですか?

折しも、今年は米中貿易戦争にみられるように自由貿易が脅かされている。シンガポールにとっては死活問題だけに、閣僚らは国際会議の場などで繰り返し保護主義に警鐘を鳴らし、自由貿易体制の維持を主張している」と記事では解説しています。これを信じれば今のシンガポールは「自由貿易体制」のはずです。

自由貿易」とは「国家が輸出入品の禁止・制限、関税賦課・為替管理・輸出奨励金などの規制、および保護・奨励を加えない貿易」(デジタル大辞泉)という意味です。

日本貿易振興機構(ジェトロ)のサイトでシンガポールの「輸入品目規制」を調べると「輸入禁止品目は、チューインガム、爆竹など。輸入管理品目は、化学品などがあり、事前登録および輸入ライセンスの取得が義務付けられている」と出てきます。シンガポールでは「国家が輸出入品の禁止・制限」をしており、「自由貿易体制」は実現していないのではありませんか。

(2)シンガポールは「マレー半島の先端」ですか?

ラッフルズは英国の東インド会社で東南アジアの植民地貿易に携わった人物だ。1819年1月、マレー半島の先端にあるシンガポールに上陸した」と記事では書いています。この記述からは「シンガポールはマレー半島の一部」と判断するしかありません。

一方、見出しではシンガポールを「自由貿易の島」と表現しています。「」であれば「半島の先端」にはなり得ません。例えば、シチリア島を「イタリア半島の先端にある」とは言わないはずです。

シンガポールは島であり、「マレー半島の先端」ではないと思えます。仮に「マレー半島の先端」であれば「自由貿易の島」という見出しに問題が生じます。記事の説明は誤りではありませんか。

問い合わせは以上です。回答をお願いします。御紙では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。「世界トップレベルのクオリティーを持つメディア」であろうとする新聞社として、責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇

マレー半島の先端」に関しては「間違いだ」と厳しく言うほどの話ではないかもしれない。シンガポールの位置を「マレー半島南端」としている資料もそこそこある。ただ、正確さには欠ける。

自由貿易」も同様だ。「貿易の自由度が高い=自由貿易」とは言えない。経済記事を書くのであれば、その辺りはしっかりと自覚してほしい。


追記)結局、回答はなかった。

※今回取り上げた記事「グローバルウオッチ~自由貿易の島 200年の重み シンガポール
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180822&ng=DGKKZO34335420Q8A820C1EAC000

※記事の評価はD(問題あり)。岩本健太郎記者への評価も暫定でDとする。

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