2018年8月21日火曜日

日経ビジネス「リニア新幹線 夢か、悪夢か」は評価できるが…

日経ビジネス8月20日号の特集「リニア新幹線 夢か、悪夢か」は読み応えのある内容だった。問題意識が明確で、取材もしっかりしている。
天草灘(熊本県天草市)

住民と自然をなぎ倒して進む、超巨大プロジェクトの真実。真夏の夜、見えるものは夢か、それとも悪夢か」と問題提起しているが、筆者ら(金田信一郎編集委員、藤中潤記者)が「悪夢」と見ているのは明らかだ。

それはそれでいい。ただ、既に動き出している「超巨大プロジェクト」を「陸のコンコルド」と言い切るには根拠が弱い気はした。記事の一部を見ていこう。

【日経ビジネスの記事】

13年、記者会見で社長(当時)の山田佳臣が、リニア計画は『絶対ペイしない』と答えた。だが、JRの経営陣は『本人の意図と違う」と主張する。「(リニア)単独のプロジェクトとして見たときには、5兆円のプロジェクトを回収するわけにはいかないですよと。やっぱり東海道新幹線と組み合わせて実現ができる」。副社長の宇野護はそう解説する。しかし、巨費を投じた超高速のサービスが赤字で、本当に全体の黒字化が達成できるのか。

「東海道新幹線だって客のほとんどが(リニアに)奪われるから収益が下がる。リニアがペイしなければ、両方沈没するんじゃないの」。立憲民主党の初鹿明博はそう指摘する。


陸のコンコルド」ならば…

コンコルドは開発段階で「ペイしない」との認識があったにもかかわらず、事業をやめられなかったことで知られる。「サンクコスト」の説明でよく出てくる。

日経ビジネスの記事を読む限り、リニアは「危険な挑戦」かもしれないが「絶対ペイしない」とは言い切れないようだ。だとしたら、既にかなりの投資をしている以上、「挑戦」を止めるのが正しいとは言えない。

筆者らがリニアは「陸のコンコルド」と確信しているのならば、「ペイしない」根拠を示すべきだ。リニアに限らず、事業への投資は「危険な挑戦」になるのが当たり前だ。リニアが「陸のコンコルド」ならば今からでも撤退すべきだが、そう判断すべき材料を特集では提示できていなかった。

とは言え、特集全体への高い評価が揺らぐものではない。その点は強調しておきたい。


※今回取り上げた特集「リニア新幹線 夢か、悪夢か
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/special/081401047/?ST=pc


※特集の評価はB(優れている)。金田信一郎編集委員への評価はC(平均的)からBに引き上げる。藤中潤記者は暫定でBとする。金田編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。

悪くないが気になる点も…日経ビジネス特集「石油再編の果て」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/06/blog-post_17.html

日経ビジネス「石油再編の果て」の回答が映す本物の変化
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/06/blog-post_21.html

日経ビジネス金田信一郎編集委員の記事に感じる説明不足
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/blog-post_3.html

説得力欠く日経ビジネス「四半期決算が会社をダメにする」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_27.html

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